視線 ページ4
「分かりました。タオルは私が持っていくので山崎さんは職務に戻って大丈夫ですよ?」
そう言う私に山崎さんは「でも…」と遠慮していたが「これも女中の仕事です!ほら、行った行った!!」と彼の背中を押し半ば強制的に職務に戻らせる。
それから、洗剤を置いて大きめのタオルを持って急いで土方さんの部屋に向かった。
「土方さん、失礼します。タオル持ってきま……うわぁ」
「おい、うわぁってなんだよ」
いや、だって…こんな姿の副長を見たら誰だってこんなリアクションになるよ。
濡れたって言ってもたかが水鉄砲だからそこまででもないだろう。と思っていた私が甘かった。相手はあの沖田さんだぞ、そんな可愛い水鉄砲を使うはずが無い。
滝修行でもしてきたの?って聞きたくなるくらい全身びしょ濡れの土方さんは、いつも以上にイライラしながら煙草を吸っていた。
「…あぁもう。早く煙草を消してこれで拭いてください!なんで全身びしょ濡れの状態で煙草吸ってるんですか?バカなんですか??」
「誰がバカだ、こちとら総悟のせいで仕事が滞ってイライラしてんだ。このぐらい大目に見ろ」
「良いからもう、早くそれ消してください!風邪ひいちゃいますよ!!」
「あ、おい…!」
いつまで経っても煙草を消さない土方さんにイラッとして口に咥えていた煙草を無理矢理取り上げ、灰皿に押し付けた。
そして、持っていたタオルを土方さんの頭にかけ、ワシャワシャと拭く。
最初は「自分で拭ける」と言っていた土方さんだったが「信用できません!どうせパパッと拭いて仕事する気でしょ!」と言い返すと、図星だったのか何も言わなくなった。
(――と言うか私結構思い切った事しちゃってるよね?)
勢いだったとはいえ、好きな人の頭を拭くなんて…。いや、これも仕事だし。…ん?仕事か??副長の頭拭く事って女中の仕事に入るのか??…いやいや、副長に風邪ひかれて真選組が大変な事になるのを避けるためにやってる事だから、うん。大丈夫これも仕事。……なんて、自問自答を繰り返していると―――、ふと、1つの視線に気付いた。
誰の視線かなんて今ここには私と土方さんしかいない。と言う事は……。
その視線の先を確かめるように私の視線もそこへと向ける、するとタオルの隙間から覗く切れ長の目と視線が交わった。
「……土方さん?」
私が彼の名前を呟いた数秒後、私の手に土方さんの手が触れた――。
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紅華(プロフ) - 閃光の歌姫さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます泣!!! (2017年12月30日 13時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
閃光の歌姫 - うおおおお!心理描写とか上手すぎて泣きそうになりました… (2017年12月30日 0時) (レス) id: 873bf975e9 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 舞佳さん» ありがとうございます!twitterでフォローして頂いた方ですよね??コメ欄でも…嬉しいです!泣 土方さんにキュンキュンして頂けて本当に嬉しいです。次回作も頑張ります!!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - よしなさん» 返信遅れてすいませんでした!!応援ありがとうございます!!無事完結しました!ありがとうございました!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
舞佳(プロフ) - 完結おめでとうございます!土方さん素敵過ぎてキュンキュンしてしまいました!!次回作も楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: eb455c1ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年6月30日 20時