冷水 ページ27
「だぁぁ!泣き止めバカ!」
「ばかじゃないでずー。…」
嗚咽を漏らす私に銀さんは「バカだろ。紛れもねェバカだろ。顔洗って落ち着いて来いバカ」と小学生低学年レベルの悪口とタオルを投げた。
馬鹿と言われた事に納得はいかないが、銀さんの言う通り水道へと向かう。
鏡は無いけど、私今ヒッドイ顔してんだろうな…なんて自分の今の顔に絶望しながら冷水で顔を洗った。当たり前だけど冷たくて、私の心臓が一瞬ヒュンッてなる。けどそんな冷たさは今の私には丁度良くて、どうしようどうしようと焦ってパニックになっていた頭がちょっとだけ冷静さを取り戻した。
(――まずは誤解を解きに行かなきゃ)
うん、ここでパニックになって泣いてたところで銀さんに迷惑かけるだけだし、もしかした私がこうやっているうちにどっかの美女が土方さんにお近づきになってるかもしれない。もしかしたら一晩のランデブーとかなっちゃうかもしれない。
「そんなの無理無理無理。ある訳ないって分かってるけど無理ぃぃぃ」
最後のは私の過剰妄想だとは分かっているけど、土方さんが知らない美人といるって想像しただけで吐血しそうぅぅぅ。
(――……いや、落ち着け。落ち着け!!)
またパニックになりそうなのを抑えるために、バシャバシャと冷水で顔を洗う。洗うっていうか浴びる。
「……お前いつまで顔洗って………はぁ!?なんでんなびしょ濡れになってんだよ!!」
「…あ、銀さん。いやちょっと落ち着こうと思って…おかげで頭が冷えました」
「物理的に冷やしてどうすんだよ!風邪ひくだろ、このバカ!!早くタオルで拭けアホ!!!」
バカに続いてアホ扱いされてしまった。けどそんな事もうどうでも良い。だって私は行かなきゃいけないから。
「…土方さん、見つけなきゃ」
「っ、その前に拭けって!」
銀さんが何か言ってる。けど私の頭には何も入ってこなくて…と言うか、なんか頭ズキズキする??
そう思った瞬間に私の意識はプつりと切れた。
あぁきっと馬鹿みたいに冷水浴びたからだな。なんて呑気にぼやける意識の中思っていたら――。
「―――、A!」
意識が完全に途切れる直前、私の名前を呼ぶ土方さんの声が聞こえた気がした。
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紅華(プロフ) - 閃光の歌姫さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます泣!!! (2017年12月30日 13時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
閃光の歌姫 - うおおおお!心理描写とか上手すぎて泣きそうになりました… (2017年12月30日 0時) (レス) id: 873bf975e9 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 舞佳さん» ありがとうございます!twitterでフォローして頂いた方ですよね??コメ欄でも…嬉しいです!泣 土方さんにキュンキュンして頂けて本当に嬉しいです。次回作も頑張ります!!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - よしなさん» 返信遅れてすいませんでした!!応援ありがとうございます!!無事完結しました!ありがとうございました!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
舞佳(プロフ) - 完結おめでとうございます!土方さん素敵過ぎてキュンキュンしてしまいました!!次回作も楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: eb455c1ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年6月30日 20時