人は変わらない -土方side- ページ48
「……変わりやせんね。あんたも」
隊士達の声に塗れて聞こえる総悟のため息交じりの声。
道場は早朝だと言うのに人が多いせいか蒸し暑く、立っているだけでも汗が出てくる。
「人間なんてそう簡単に変わるもんじゃねェーだろ…」
額に流れた汗を拭う。
未だ涼し気な顔をしている総悟の目を見れば紅い瞳が何とも言えぬ思いを映していた。
「そりゃまたあんたらしくねェ考えですねェ」
「…てめェに俺の何が分かるって言うんだよ」
「……分かんねェですぜ。と言うかあんたの事なんざ分かりたくもねェ。……けど、」
――――バシンッ
激しく竹刀同士がぶつかる音が、道場に響く。
咄嗟に顔の前に持ってきた竹刀は軋み、こいつが本気で振り下ろしてきたことが良く分かった。
周りの隊士たちはその音になんだなんだと視線を向ける。
しかし総悟はそんな視線には目もくれず真っ直ぐ俺を見据えて言った。
「…そんな顔するぐれェなら正直に自分と向き合ったらどうなんでィ。今のアンタはただの腑抜け野郎だ。…他人の幸せばっかり祈りやがって。知ってやすかィ?自分を幸せにできねェ奴は他人も幸せにはできないらしいですぜ――――姉上の時とは人も状況も違いまさァ。」
…そんな事は知ってんだよ。言われなくても、てめェが1番よく分かっていたはずだ。
はずなのに…、総悟の言葉にギリリと奥歯を噛みしめている自分が居た。
人はそう簡単には変わらない。‟簡単”には――。
.
ふぅと深くため息をついた。
構えていた竹刀を降ろし、もう一度総悟を見る。
「…あり?もう改心したんですかィ?」
「誰がだ。改心が必要なのは俺じゃなくてテメェだろ」
そう言えばニヤリと笑う総悟。
俺たち2人の様子に気付いたらしい近藤さんが慌てた様子で声をかけてきたが「なんでもねェよ」と言うと、何かを察したのか「そうか!」と言いいつもの笑顔を見せた。
「…じゃあみんな今日の朝稽古はここまでだ。お疲れさん!!」
その言葉に隊士たちも俺たちに向けていた視線を外し、道場を出始める。
「…まさかテメェに説教される日が来るとはな」
「何ニヤニヤしてるんですかィ?気色悪い。そんなに説教されたかったら、いつでもしてあげますぜドMマヨ方さん」
「…テメェ」
そんな俺たちの視界の端には、パタパタと忙しそうに走るアイツの姿があった。
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桜月(プロフ) - 続きが気になります!続き書いて下さい! (2017年6月17日 21時) (レス) id: 1574d4bc36 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 吉望さん» ありがとうございます!!!いっぱいキュンキュンしちゃってください!これからも頑張ります!! (2017年5月3日 21時) (レス) id: a1f5dcc952 (このIDを非表示/違反報告)
吉望(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁ↑もう土方さんにキュンキュンしてます!不器用なところが良いですよね^^これからも頑張ってください! (2017年3月22日 1時) (レス) id: 08a24554a0 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 咲良さん» 嬉しい!来てくれてありがとう!私もアイラブ土方さんよ(*´∀`*)♪ 頑張って書くね! (2017年1月28日 15時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 久しぶり〜!!宣伝見て来たよ!アイラブ土方さんだからチョー嬉しい! (2017年1月24日 20時) (レス) id: cb0c504161 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年1月2日 20時