逃げ-土方side- ページ47
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―――――胸の奥が、変だ。
炎で炙られたようなそんなじりじりとした痛みが胸に広がっていく感じがする。
それを消す為に竹刀を振るうが、それは増していくばかりで俺はそんな自分にイラついて舌打ちをした。
「どうしたんだトシ?」
「今日は調子が悪そうだな」そう言って隣から俺の顔を覗き込む近藤さんに「別に…なんもねェよ」とだけ返してまた竹刀を振るう。
‟好みなんて人それぞれじゃないですか”
‟次は私のチョコ愛に付き合って貰いますから”
俺がマヨネーズの話をしても大抵の人間は嫌な顔をする。
しかしあいつはと言うと、嫌な顔をするどころか楽しそうに笑いそんな事を言いやがった。
どんどんあいつに乱されていく。
感情も、行動も。
流されちゃいけねェ事くらい自分が一番よく分かっているはずだ。
なのに――――、
「…随分と複雑そうな顔してますねェ」
「……なんだよ総悟」
肩に竹刀を乗っけて、涼しげな顔で今度は総悟が俺の顔を覗く。
1つも汗かいてねェとこ見ると稽古サボってたなこいつ…。
「…真面目に稽古しろ」
チラリと視線を一瞬だけ総悟に映す。すると同時にさっきの光景が浮かび咄嗟に目を逸らしてしまった。
‟ふふっ、ちゃんと離してくれましたね。良い子良い子!”
(……いつの間にあんな仲になってたんだよ)
あいつと総悟の仲は、俺から見るに犬猿…と言う感じだった。
しかし朝、たまたま通りかかったAの部屋の前で見たのは抱き合っている2人の姿。
あの総悟が女中であるAの背中に腕を回して楽しそうに笑っていたのだ。
そっとしておいた方が良かったのかも知れねェ。踵を返し、空気を読んでその場から離れた方が良かったのかも知れねェ。
―――けど、俺は何故かそれができなかった。
空気を読むどころか俺はその空気の中に割って入って、無意識に声をかけていた。
「真面目に、ねェ…」
「あぁ、分ったらとっととやれ」
「……真面目に自分に向き合ってから俺に説教してくれやせんか」
総悟は気づいている。気付いているから俺が声をかけた瞬間、あの目で見たんだ。
あの時と同じ目で…。
そして俺は―――、
「…何のことだ。」
またその目から逃げた。
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桜月(プロフ) - 続きが気になります!続き書いて下さい! (2017年6月17日 21時) (レス) id: 1574d4bc36 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 吉望さん» ありがとうございます!!!いっぱいキュンキュンしちゃってください!これからも頑張ります!! (2017年5月3日 21時) (レス) id: a1f5dcc952 (このIDを非表示/違反報告)
吉望(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁ↑もう土方さんにキュンキュンしてます!不器用なところが良いですよね^^これからも頑張ってください! (2017年3月22日 1時) (レス) id: 08a24554a0 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 咲良さん» 嬉しい!来てくれてありがとう!私もアイラブ土方さんよ(*´∀`*)♪ 頑張って書くね! (2017年1月28日 15時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 久しぶり〜!!宣伝見て来たよ!アイラブ土方さんだからチョー嬉しい! (2017年1月24日 20時) (レス) id: cb0c504161 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年1月2日 20時