愛していると、【桃】 (ページ37)

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～貴方 side～

濵「俺な、Aのことずーっと笑わせてやりたかったんよ。
……でも俺にはできんかった。いっつもA、作り笑いばっかり、(笑)」

そう話す崇裕さんの表情は見えないけれど

声が涙ぐんでいて、
時々鼻を啜る音も聞こえる。

私は崇裕さんの背中に腕を回した。

濵「さっき俺車ん中で可愛くなった？って聞いたやん」

『……ん、』

濵「きっと誰かのお陰なんやろなぁ……。Aの心を救えるのは、俺やなかった。俺やない別な誰かが、Aのこと変えてくれんねん」

『……そんな、人、』

濵「自分に嘘ついたらあかんよ？」

肩に手が置かれ、崇裕さんの顔が離れた。

赤くなった目が真っ直ぐ私を見ている。

濵「……俺はAのこと幸せにできなかったけど、俺やない誰かと、絶対に幸せになって」

苦しそうに崇裕さんが言うから、私の目の前もぼやけてしまう。

嫌だ、と首を振ると
崇裕さんの手が私の目尻に触れた。

『……いや、っ、崇裕さんと、離れたくない』

濵「っ、……嬉しい、なぁっ」

私は気づかないうちに

崇裕さんに依存してしまっていた、のかもしれない

もう崇裕さんに会えない

その事実が

こんなに大きな喪失感を生む。

濵「ほんまに、さぁ、俺Aのこと大好き。愛してる」

……あぁ、

“愛してる”と言わないで

もう、

会えないのに

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