検索窓
今日:40 hit、昨日:0 hit、合計:109,706 hit

第80話 ページ39

Aside



「…赤羽業、か」

「…はい」


一通り、今日あった事を話した。

姐さんにしたのとほぼ同じ説明だけど、どうせ中原さんはそっち聞いてないしいいや。


「それで手前はどうすんだ?任務は終わってねェんだろ」

「そこを悩んでるんですよ……ほんとどうしたら……」

「俺には聞くな」

「はァい…」


中原さん、冷たい。

でも、あの場を逃げてきたのは謝りたいし、彼からの告白も断りたい。

だから赤羽を傷つけない方法が必要なのに…


「然し、手前に惚れる人間が居るとはな」

「どういう意味ですか」

「そのままの意味だ」


…ほんとにこの人上司だろうか。


「…でも、どうして」

「あ?」

「どうして赤羽は、私に惚れたんでしょう」

「…そりゃ、手前に何かしら魅力でも感じて」


魅力、魅力か。


「赤羽にも、言われましたよ。『金子さんだからこそ持っている魅力もある』…って」

「…ヘェ」

「中原さんは、何だと思います?私の魅力」


そう問いかけると、少し困った様に頭を搔く中原さん。


「そんな直ぐには出て来ねぇよ…

まぁ強いて言うなら、強靭さじゃねえか?」

「強靭さ?」


若干失礼な気配を感じる。


「腕っぷしとかそんな感じですか」

「いや、何方かと言えば性格だな。何と言うか、こう、この裏社会で生きてきたからこその意思の強さって云うのか?そこじゃねえか、と…俺はそう思う」

「…ふーん」


納得のいくような解説の反面、少し違和感を感じた。

何だか、その言い方じゃ、まるで……


「…まるで、中原さんまでが私の事好きみたい」

「はァ?」


だって。だってそうじゃない。


「そんなにスラスラと…普段から見てくださってるって事でしょ?何か、赤羽みたいで」

「ンな馬鹿な事ねーよ…お前は幹部補佐、俺は幹部で、お前の上司。部下に恋情を抱くなんて真似はしねえ」

「…そうですか?」

「…何だよ」


後ろを向いて、後頭部しか見えない私の上司。

いつもの仕返しだ。これ位は許して欲しいな。


「じゃあ、部下が上司に恋情を抱くのは…どうなんでしょうね」

「…手前、真逆そんな事しねえだろうな」

「さァ?わかりませんよ、中也さんだって」


呼び方が変わった事に、彼は気付くだろうか。

そして、赤羽への断り方が思い付いた事にも。













ごめんね、赤羽。









_私、気になる人が、いるの。

第81話→←第79話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (127 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
398人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いわいざけ(プロフ) - キャラメルソーダさん» いえいえ、ご丁寧にありがとうございます!コメントして頂けるだけでも嬉しいです^^* これからも頑張って更新を続けますので、気長に待っていてくださいね! (2018年4月6日 20時) (レス) id: a3a57f67d2 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルソーダ - ごめんなさい!エラーおきてしまって同じことを2回押してしまいました。本当に申し訳ございません。 (2018年4月3日 2時) (レス) id: 694e5af654 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルソーダ - この作品初めて見ましたけどとても面白いですね!!更新されるのを待っています!頑張ってください (2018年4月3日 2時) (レス) id: 694e5af654 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルソーダ - この作品初めて見ましたけどとても面白いですね!!更新されるのを待っています!頑張ってください (2018年4月3日 2時) (レス) id: 694e5af654 (このIDを非表示/違反報告)
千羅 - 中也さん落ちがいいです!更新頑張って下さい! (2018年4月2日 11時) (レス) id: 7af68d4a6a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いわいざけ | 作者ホームページ:なし。  
作成日時:2016年9月3日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。