真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ9)

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第9話「良い声は間近だと更にヤバイ」ページ9

「はぁ…」
「どうしたんだい?A｡やっぱり緊張する?僕も少しドキドキしてるよ｡あはは」
「ｳｯ…まぁうん｡あはは」
熱を出してから数日後｡
ついにその日はやって来た｡
内心､ドキドキノンストップである｡

私とジョナサンは朝から庭でダニーと戯れていた｡
「クウ～ン」
「ダニー｡今日は新しい人が来るんだよー」
心の安寧を保つ為にダニーを撫で撫でする｡
私は猫派だが､だからといって犬嫌いなわけじゃない｡
「Aもダニーとはもうすっかり仲良しだね」

ダニーとだけではない｡
ジョナサンとも仲良くなれた｡
ジョナサンは私を実の妹の様に可愛がってくれる｡
そんなわけで､私もジョナサンを実の兄の様に慕っている｡

仲良し…｡
あっ……｡
「ねぇ､ジョジョ｡そういえば､このまえ貴方が助けたっていう女の子…近くに住んでるの?」
「え…ああ､多分ね｡ここら辺の子だと思うよ」
まだ確信は持てないけど…｡
多分､エリナじゃないかな…｡
お人形取られて泣いてたって言ってたし｡
私が熱を出したその日｡
ジョナサンは女の子を助けたらしい｡

くっ!私も加勢したかった!!
熱さえ出なければ!!ちくせう!!
ていうか(多分､エリナと思しき女の子)に会いたかった!!

「ワン!」
ダニーが玄関の方を向いた｡
「どうしたの?ダニー」
「誰か来たのかな?」
「もしかして､今日来るっていう養子の?」
「多分ね｡よし､行ってみようか」
「うん」

玄関の方へ行ってみると､馬車が止まっていた｡
ジョナサンが先に行く｡
私は少し後から､ダニーと一緒について行く｡

馬車から金髪の少年が勢いよく飛び降り､すたっと着地した｡
きっとディオもカッコつけたいお年頃なんだね｡うん｡

私はお得意のくだらない考え事を始めていた｡

ジョナサンがディオと挨拶して､すぐ､ディオが視線をこちらに向けた｡ジョナサンがそれに合わせてか､手招きをする｡
ちまちまと近付いて行き､少しどもりながら､なんとか挨拶をする｡
「こっこんにちは､A·ジョースターです｡貴方と同じく養子でして…その…よろしくお願いします」
「ああ､よろしくね」
うわぁーわざとらしいー笑顔ぉー(笑)
思わず心の中で棒読み口調になる｡

しかし……｡

間近はヤバイぜ…｡

ヤバすぎるぜ…｡

ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ～!

子安ボイスゥｯ!!!!