真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ49)

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第49話「成程､中二病だったか」ページ49

嗚呼､何だか長い夢を見ていた様な｡
あれ?でも夢ではないよな｡
確かにそこに……｡
そう､ジョナサンとディオが……｡
ハッとして瞼を開ける｡
「お目覚めの時間ですよ､シニョリーナ」
「………え?…ど…どちら様で」
目の前に居たのは､ジョナサンでもディオでもなかった｡
見知らぬ､爽やかそうなタレ目の青年だった｡
というか､周りは船内でもない｡

ドギマギしているうちに段々頭が冴えてきて､今の状況が分かってきた｡
まず､私はベッドに寝ている｡
そしてそれを青年が覗き込んでいたのだ｡
不安気な視線を送ると､青年は､ああすみません俺は別に怪しい者じゃないですと言って自己紹介をした｡
「俺はオラクル・アポストロ｡上司の命令で貴女を助けました」
「上司?」
「はい､そうです｡俺の直属の上司です｡そして貴女をこの世界に送り込んだ張本人です」
「………ええと…つまり…最初､メールをくれたのは貴方の上司?って事…ですか」
「ああ､アレは俺ですよー｡日本文化にハマっちゃってー｡我が左腕に宿りし!とかやってみたいんですよね!」
成程､この人は中二病か｡
そういえば彼の軽い感じのノリがあのメール文を彷彿とさせる｡
「あれ､もしかして神様がどうとかは」
「冗談ですね」
照れながらえへへと笑う｡

「あの…助けて頂いて有難うございます｡それでですね…聞きたい事があるんですけど」
「はい､なんなりとどうぞ!」
「私､死にましたよね?」
「はい､死にましたよ｡完全に｡」
「ですよね…でも…今…生きてる」
「何でか気になるんでしょう?教えて差し上げます｡何故なら貴女には知る権利がある」

オラクルは一呼吸置くと､驚きの発言をした｡
「ズバリ､貴女のスタンド能力によるものですかね…まァ他のスタンドの力もあるんですけど」
「スタンド…」
知っている｡
三部のアニメを飛ばし飛ばしではあるが少しだけ観た事があるから｡
「え…私はそんなのないんですけど」
「ありますよ～でなきゃ今頃ここには居ない｡」

肩をすくめると､私のスタンド能力の発現について彼は語った｡
貴女はある矢によって18歳の誕生日にスタンド能力に目覚めていると､そして私はそのスタンド能力によって今､こうして生きているのだと｡
「気付いてないでしょうけど､貴女は不老不死なんですよ…吸血鬼とはまた違った感じでね」

「そうなんですね…あッ…エリナとあの赤ちゃんは助かったんですか!」
「助かりましたよ､無事救助されましたからね」
ホッと胸を撫で下ろした｡