真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ48)

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第48話「あら大変､もう寝る時間が来てしまったみたい､一緒に寝ましょう､あの頃みたいに」ページ48

「そんなの…そんなのって…本気なの…」
「ああ…本気だとも…そして最後に教えておいてやる」
「?」
「何故､お前にこのディオがこんな情けない姿を見せたと思う…それは俺がお前を尊敬しているからだ…ジョジョの奴とお前と同等にな…俺はお前も侮っていた…だが､今は違う…お前もまた尊敬する相手なのだと気付いている」
突然のディオの言葉に頭が追いついていかない｡
尊敬?私を､ディオが?と疑問だけが浮かぶ｡
「お前は恐ろしい事も痛い事も嫌いだったな…だから」
突然､何かが私の首筋に刺さった｡
痛いとも思わなかったが､何故か強烈な眠気を感じた｡
瞼が重く感じる｡
「何…コレ…」
「それはコイツが作った薬だ｡穏やかにそれこそ眠る様に死ねる…波紋を使ってどうにかしようなんて思うな…勿論､その対策もその薬には施されている」
ディオが中国人を見ながら言った｡
そんなの安楽死が必要な現場に引っ張りだこの薬じゃねえかと言おうとしたが､声が上手く出ない｡
私は耐えきれず瞼を閉じてしまった｡

「ん…」
何かが冷たい物が身体の中に入るのを感じた｡
無理矢理瞼を開ける｡少ししか開かないが､様子を見るのには十分だ｡
そこには胸と腹部から大量に赤い液体が滲み出ている光景があった｡

薬のせいなのか痛みも苦しみもない｡
最早､私を縛っていた縄は切れ､床にバラバラになっていた｡

周りは火の海だった｡
さらには､ディオがジョナサンに襲いかかり､それをジョナサンが鉄の破片で反撃した瞬間が見えた｡
傍にはエリナと一人の赤ん坊が居た｡

「嗚…呼…な…んて…こと」
ジョナサンは既に瀕死だった｡
だが､ジョナサンはディオの首を離さないようしっかり抱きとめる｡
決着をつける気なのは私にも分かった｡
「……幸…せ…に…エリナ…」
「離せ!ジョジョ!考え直すんだ!」
しかし､ディオの声は届かなかった｡
既に､ジョナサンは死んでいたのだから｡
「ディ…オ」
「な!何故!まだ生きて!」
半ば這いずる様にし､ジョナサンとディオの元へ辿り着いた｡
「喜べ……ディオ…心中…して…や…るんだ…から」
私のドレスは最早､深紅に染まっていた｡
ジョナサンの頬に口付けをし､ディオの頬にも口付けをする｡
「ジョ…ジョは…天…国…行きだ…ろう…から…私が…地獄に…付き合って…あげる…よ…お兄…様」
ジョナサンとディオにもたれかかったところで私の意識は完全に途切れた｡