真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ45)

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第45話「真逆の手紙」ページ45

この時代の貴族の娘というのは､16歳あたりで社交界デビューする｡勿論､私もした｡
そこでパートナーを見つけるのが一般的｡
皆が狙うお相手の代表例は爵位を継げる嫡男｡
何故かと言うとこの時代の女に財産権なんてないから苦労しないようにだ｡

夜会には私も何度も出席している｡
夜会がどんな場所かというとコミュ障イジメの場だ｡
私はいつも父か兄達に引っ付いていた｡
シラナイヒトコワイ｡

そんなこんなで私の所には夜会への招待状がてんこ盛りで届いてるのだ｡
今更だけどジョースター家凄い｡
「ジョジョが爵位継いで…少し落ち着いたからって…こんなに…まあコレも貴族の付き合いだもんなぁ…ジョジョの為にもなぁ…」
うんうん唸りながら､布団を持ち上げ､サイドテーブルに手を伸ばし､適当に一通､指先でつまむ｡
「ええと…どれどれ………ってコレ…夜会の招待状じゃないじゃん…でも…招待状だ…ある意味…え…何コレ」

私が偶然手にした一通は､私の運命を大きく左右するものだった｡

「ねえジョジョ…」
「?どうしたんだい…A」
「これなんだけど…」
私はその日の夜､一緒にソファでくつろいでいたジョナサンにアノ一通の招待状をみせた｡
ジョナサンに､甘える様にべったり引っ付いて､私も招待状を覗き込む｡
もうすぐ彼はエリナと結婚してしまうのでこういうのは今の内にしておく事にしている｡

私も兄離れしなくては､と思うのだが正直自信はない｡

「A…コレって」
「うん…」
ジョナサンが驚いた顔で招待状と私を交互に見る｡

「……私の保護者って人からの…手紙…んで…会いたいってゆう感じの…伝えたい事があるって…場所はアメリカ…って書いてある」
言葉をぽつりぽつりと紡ぐ｡
暫くの沈黙の後､先にジョナサンが口を開いた｡
「Aはどうしたい?」
「んー…分かんない…今はジョジョと一緒にいたいのは分かるー」
むぅーっとジョナサンにしがみつく｡
ジョナサンは苦笑して私の頭を撫でた｡
「じゃあさ､僕達と一緒に行かない?アメリカ」
「え…」
ジョナサンがナデナデを続けながらふふふと微笑む｡
「丁度いいよ､だって僕達の新婚旅行先はアメリカだから､同じ船に乗って一緒にアメリカに」
「いやいやいや!よくないよ!私､邪魔だよ!?新婚旅行の余計なお荷物になっちゃうよ!気兼ねなくいちゃつけないよ!」
わああと慌てふためく私に再びジョナサンは苦笑した｡

その後､また後日話そうという事になり今日はお開きとなった｡