真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ39)

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第39話「だから虫は」ページ39

トンペティ達にツェペリの事を説明した後､全員でポコを家に送り届けた｡
しかし､中からポコの悲鳴のような声が聞こえた｡どうやらポコの姉が外へ出てしまっていたらしい｡

「乙女へのこの様な蛮行!万死に値する!」
天井の吹き抜け部分から､適当に見つけてきた鉄の塊を私が思い切り蹴飛ばし､下に居る少女を襲っていた気味の悪い男の頭上に落とした｡
「アンギャアアアア～!だ!誰りだァ～！」
「屍生人になど誇りある我らが名を教える必要なし!」
ジョナサンがキッパリ言い切る横でポコが顔を出す｡
「ねーちゃん!」
「ポコ!」
私達はポコと共にディオが居るであろう場所までやって来たのだ｡
案の定､ポコの姉も居た｡

ジョナサンが男に向かって飛び降りる｡
刹那､ジョナサンが何かに攻撃を受けた｡
それはなんと何匹もの毒蛇だった｡男は体内に蛇を飼っていたのだ｡
私は蛇を見た瞬間､スピードワゴンに抱きついてしまった｡
ごめん､無理｡本当に虫の類は駄目だから｡
ジョナサンは蛇の毒を血液の流れのコントロールによって体外へ押し出した｡波紋法の応用的なものだろう｡
そして､ジョナサンが蛇達に波紋を送り込み､逆に男を攻撃させ勝利した｡

「姉ちゃん!」
「ポコ!」
姉弟は無事に再会｡少しだけホッとする｡
だが､本当に少しだけだ｡何故なら奥には彼がいる｡
私達の目的である彼が｡
ジョナサンが奥の扉を開けた｡
「地獄から戻って来たぞ､ディオ!」
「はッ!生きてたのか…」
「私もお忘れなく…お義兄様!」
鞭を手に持ち､ジョナサンの隣に立つ｡
「生きているということは…あの二人の騎士を倒してきたということ…らしいな」
ディオの背後に屍生人達が現れる｡
さらにはジョナサンの上からも私のすぐ横からも現れ襲いかかってきた｡
だが､この程度の屍生人ならば苦戦することもない｡
ジョナサンも私も瞬時にそいつらを片付けた｡

ディオが背後に居る屍生人達を一旦手で制したかと思うと､何故か私に声をかけてきた｡
「なあ…A…お前も年頃だろう…」
「何､それがどうかした?」
私はむすりとして答える｡
「お前も女だろう…そのまま若く美しくありたいと…そう思わないのか…」
「……そうだね」
ディオが微笑み､ジョナサンがこちらを不安げに見る｡
既に背後にいたスピードワゴン達が息をのむのが分かった｡
「でもね…まず私はこれっぽちも美しくなんてないの…若いのは当てはまるけど…それだけ」
ディオはただ静かに私を見ていた｡