真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ37)

今日:11 hit、昨日:6 hit、合計:33,684 hit

第37話「高い所はマジ勘弁」ページ37

「私でもあそこには…」
入れるとすればただ一人｡
ツェペリもスピードワゴンも私もポコを見る｡
スピードワゴンがポコに声を掛けようとしたのをツェペリが止める｡確かに彼には荷が重すぎる｡
「こうなったら降りるしかないです!グズグズしてる暇はありません!ポコ!いい?そこを動かないでね!怖いだろうけど!」
私は自分が高所恐怖症だということをひたすら誤魔化すように大丈夫と心の中で繰り返した｡
ぶっちゃけここら辺に来てからずっとである｡

「…ねーちゃんは…怖くない…の?」
震える少年の問いに一瞬動きが止まる｡
「怖いよ…でも本当に怖いのは､何も出来ないうえに誰も助けられない事だから」
真っ直ぐに少年を見つめ返したその時､ポコの震えが止まった｡
そして､ポコがいきなり壁をよじ登り､止めるのも聞かず通気孔の中へと入っていってしまった｡

ポコは中へと入ったが､タルカスの攻撃を受けてしまうがなんとかレバーを押し､扉を開けた｡
「へへへ……」
「ポコッ!なんて無茶を!」
ポコを抱き上げ､波紋で治療を施す｡
「立派だぜ…ポコ…心配はない､キズは浅いぜ｡…………ツェペリのダンナ!思いっきしやっつけてやれ!」
隣のスピードワゴンがポコに声を掛け､ツェペリを応援する｡
「A…スピードワゴン…ポコを頼んだぞ」
しかし､ツェペリの様子がおかしい｡
「ついに来たか予言の時が…これが運命ならあるがまま受け入れよう!」

ツェペリがタルカスに近付き､蹴りを入れようとする｡
「喰らえ!タルカス!波紋乱渦疾走ーッ!」
だが､タルカスが飛び上がり､ツェペリの上をとる｡しかも､いつの間にか鎖が下からツェペリに向かって来ていた｡
「上と下からの同時攻撃!必殺技!天地来蛇殺!」
ツェペリが鎖に絡め取られた上に､タルカスが下方に鎖を引きジョナサンの首が締めあげられる｡
「二人同時に絞め殺す!」

目の前の光景を信じたくなかった｡
スピードワゴンも隣で涙を流している｡
ツェペリは上半身と下半身を分断され､ジョナサンも倒れてしまったのだ｡
だが､ジョナサンの息はまだあった｡
タルカスがトドメを刺そうとし､私がポコをスピードワゴンに預けそれを止めようと駆け出そうとしたその時､ツェペリがジョナサンの手を握った｡
「我が究極の奥義…ジョジョに捧げる…ジョジョ!継いでくれわしの意志をーッ!究極!深仙脈疾走!」
波紋がジョナサンへと伝わるのが分かった｡