真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ25)

今日:19 hit、昨日:6 hit、合計:33,692 hit

第25話「私もサンドイッチ食べたい」ページ25

「スピードワゴン､戻ろうか｡今は二人きりにしてあげたい」
「ああ､ここはあらためて明日出直すとすっか!スピードワゴンはクールに去るぜ!」
あの有名な台詞を生で聞いて､思わず頬が緩む｡
「おっと…そうだ｡アンタを病室に送り届けなきゃな」
「い…いいよ｡一人でも｡第一､貴方の方こそ怪我人なんだから大人しくしてないと」
「駄目だ｡アンタにこれ以上何かあったらジョースターさんに顔向け出来ねえ!」
「えースピードワゴンて面倒見の鬼だなァー」
その後､私はまたスピードワゴンに病室へと送り届けられたのだった｡

「やっぱり…ないみたい」
私とジョナサンは､なんとか退院出来た｡
そして今､私達は邸の焼け跡を訪れ､全ての元凶とも言える石仮面を探していた｡
「A…もういいよ｡きっとあの仮面は邸が崩れ落ちるのと同時にその他のもの同様､粉微塵になったんだろう…だから､早く忘れよう」
「うん」
私は手に持っていたスマホだったものをそっと瓦礫の中に置いた｡
逃げる途中で落としたらしく､殆どが溶け､起動する事はなかった｡
正直､ここまで見事に壊れていれば後から誰かがスマホを使うなんて出来ないと思う｡

そこへ､杖を持ったエリナがやって来た｡
ジョナサンが杖を受け取り､三人並んで歩き出す｡

ジョナサンが何か気になっているようだった｡
「どうしたのジョジョ?」
「何かあるの?」
「いや…何でもな」
驚いた｡
石垣の上にいつの間にかサンドイッチを手にした男が座っていたのだ｡
「ジョナサン・ジョースター君…そして隣のレディ達はミス A・ジョースターとミスエリナ・ペンドルトン」
そう言うと男は膝を使ってこちらへと飛び上がって来た｡
「よく生き残れたものだ!あの「石仮面」の力から!だが､生きているぞ!「石仮面」の男も!!」
パウッという声とともに小指をジョナサンの胸部に思い切り突き当てる｡
「ジョジョー!怪我してる人になんて事をー!」
エリナが慌てて駆け寄る｡

私は､これでジョナサンの痛みが消えるのを知っていたものの絵面が絵面だけに若干焦った｡
「しばらく呼吸は出来ん…が…心配はいらん」
ジョナサンはしばらく苦しんでいたものの､自分の腕を見て信じられないという顔をした｡
「私はツェペリ男爵だ｡勇気だけでは「石仮面」には勝てんよォー」
「痛みが!…骨折した腕の痛みが､全然!」
「痛みが消えたか?…そうじゃあない｡君の呼吸が痛みを消したのだよ…そして私は味方だジョナサン君」