真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ24)

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第24話「感動の再会ってこういうことだね」ページ24

「ぐぬぬ…真逆…部屋までバッチリ送られるとは」
私はジョナサンに会う前にスピードワゴンの手により､部屋まで強制送還された｡
彼なりの気遣いなのは分かっている｡分かっているが｡
「やっぱり…会いたい｡…てかスピードワゴンもジョナサンには面会謝絶って事で会えなかったから､夜にスピードワゴン､不法侵入してた気が…」
私はこの時､すっかりあの事が頭から抜けていた｡
スピードワゴンが誰に面会謝絶を言い渡されたのかを｡

夜中､再び私は病室を抜け出しジョナサンの病室を目指す｡
「あッ…」
「あッ…」
丁度､スピードワゴンとジョナサンの病室の少し手前の廊下でばったり会った｡
「また!アンタって人は!」
「ごめッ!でも!会いたくて!」
二人揃って小声でコソコソと喋る｡
「ああもう…ここまで来ちまったらしょうがねぇ…それに…俺よりよっぽどジョースターさんに会いてぇのはアンタだろうからな…」
「ありがとう…スピードワゴン」

ジョナサンの病室の前まで行くと部屋から明かりが漏れていた｡
「なにかあったのか?…むっ!これは!」
「え…どうし…あっ…」
中に居たのはベッドに横たわるジョナサンと､それを懸命に看護するエリナの姿だった｡
エリナの手はぼろぼろになっていた｡それでも手を休めることなくタオルを水につけ､絞り､火傷を冷やしている｡

私とスピードワゴンが呆気にとられていると､ジョナサンが目を覚ました｡
「やったー!意識を取り戻したぞ!くっそー!侵入罪でとっ捕まろうとこの部屋へ入り､思いっ切り祝ってや」
「待って」
私がスピードワゴンを左手で制す｡
「な…何故」
スピードワゴンが私の方を見る｡
私はただ黙って扉の隙間から見え､聞こえるものを感じていた｡
その時､エリナがジョナサンに語りかけ始めた｡
「お久しぶりです｡ジョナサン・ジョースター」
スピードワゴンが困惑する｡
「峠は越しました…｡もう､大丈夫」
「君がずっと看護を…君は!君がここに居るなんて!面影がある!いや真逆そんなはずはない…凄く似ているけれど」
「似てるって誰に?エリナ・ペンドルトンに?」
エリナが悪戯っぽく微笑む｡
「ジョジョ」
「エリナ!…大きくなったね」
「まぁ､大きくなったですって?それは貴方の方ですわ!…そしてあの子も…」
そこでエリナの瞳から大粒の涙が零れだした｡
「……でも､本当にしばらくです」
「二人は知り合いなのか…それに過去に凄くいい思い出があるらしいな」

私も気づけば涙を流していた｡