真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ23)

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第23話「主に右半身が痛い」ページ23

「…う…痛ッたい…痛…うん?あれ?…」
私は目をぱちくりさせた｡
「ここ…どこ…?」
見知らぬ天井を私は見上げていた｡
私は寝ていたのか､途中から記憶がない｡
「えーと…たしか…スピードワゴンと喋ってて痛みが」
ハッとして起き上がる｡
私はベッドに寝ていたらしい事にそこで気がついた｡

ちなみに今居る部屋に見覚えなどない｡

ジョナサンとスピードワゴンの状態が頭をよぎった｡
「本当にここはどこ…てか…二人は?二人は…どうな」
主に右半身に痛みが走るのも構わず､ベッドから下りようとしたその時､部屋の扉が開いて一人の看護師が入って来た｡看護師は私の姿を見ると驚いて､「大人しく寝ていなさい」と言い､強制的に私をベッドに寝かせた後､バタバタと部屋を出て行った｡

「つ…つまり､二人とも…とりあえず…うん…そっか」
ここは病院だった｡
私は自分以外居ない病室で一人､安堵の息を漏らした｡
まだ早いかもしれないが､これで助かる｡

看護師が出て行った後､医者が別の看護師と共にやってきて､私の状況を説明してくれた｡
右手首から右肘にかけてまで無数に切り傷が､それによって出血多量で少し危なかった｡そして右腿には火傷｡
何故､ここにいるのかというと､なんでもガラの悪そうな青年(絶対スピードワゴンだ)が大怪我を負いながら､私とジョナサンを運び込んだのだという｡
「スピードワゴン…無茶しやがって…ジョジョも大概だけど…あいつも中々…」
瞼が重くなる｡さっき処方された鎮痛剤がそうさせているのだろう｡

だから気づかなかった｡小走りで廊下を走る音､自分の部屋の扉が少し開く音､そして､ある人物が心配そうに私を見た後､扉を閉め､また小走りで去っていく音に｡

3日後｡
「もう､動ける!動けッ…る!」
ジョジョもスピードワゴンも心配すぎてこの目で確かめない事にはどうにも｡
そこで､私は看護師達の目を盗んで､ベッドから抜け出しました｡にゃははは｡
「えーと…そういえば…スピードワゴンは入院してないんだよね…でも…ジョジョが心配で…ここに」

廊下を進みつつ､キョロキョロしていると｡
「おい!おいおい!何で出歩いてんだよアンタ!大人しく寝てろよ!」
「スピードワゴン!」
杖をつき､片腕を吊っているが意外と元気そうだった｡