真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ21)

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第21話「私もムキムキになりたいものだ」ページ21

しかし､それでも向かってくるゾンビ警官｡
私がムキムキであったならスピードワゴンを安静にかつ安全に運ぶ事が出来たかもしれないが､非力かつ貧弱な私にそれは出来ない｡
「あまりにも執拗い男は女にモテないどころか嫌われるんだからな!」
ほぼ恐怖と混乱で､動揺している私の足をゾンビ警官が掴もうとしたその時｡
槍がゾンビ警官の頭を吹っ飛ばした｡
「ジョジョ!」
「ジョースターさん!」
「怪物とはいえ…辛い!……父さん…もっと強い気持ちを与えて下さい…!」
私とスピードワゴンをジョナサンが助けたのだ｡
「危ない!ジョジョ!上から!」
「上から降ってくるぞぉーッ!」
ジョナサンが槍を構え､ディオへ一撃をくらわした｡
それをディオは片手に串刺しにして止めた｡
「貧弱!貧弱ゥ!」
ディオは逆に槍に力を込め､槍を曲げ､へし折りジョナサンの肩へ突き刺す｡

ディオはその勢いのまま､ジョナサンの後ろに降り立った｡
「ジョ…ジョジョオオオオオオ!もう少し…もう少しこの素晴らしい力を楽しませてもらうぞぉ!自分でも…どこまで出来るか分からないからなあ」
くるりとディオが振り向く｡
しかし､そこには既にジョナサンも私もスピードワゴンも居なかった｡
「フン…デカい体をしているだけはあるな…槍を突き刺したまま仲間を連れて一瞬で隠れるパワーがあるとは…」

ディオがカーテンの隙間から漏れ出る血を見つけ近づく｡
「無駄な悪足掻きはよせよなぁ…カーテンの影で怖がってないで出てこいよ…一緒に隠れている君の友人､そして俺と君の妹と共に仲良く俺の「生命」にしよう…さっきの警官のようになぁ」
ディオがカーテンに手をかけた瞬間､内側からつけられた火によってカーテンが燃え上がり､炎がディオを包み込む｡
私は､思わず口元を押さえて呻く様に喋った｡
「確かに…焼けてる…でも」
ディオの身体は炎に包まれながらも､皮膚が次々と再生していく｡
「ああ…!確かに焼けている!だが､焼けなからも皮膚の組織が次々と再生しているんだ!脳に弾丸を撃ち込んでも傷が治る理由はこれかっ!!」
私が支えているスピードワゴンが驚きの声を上げる｡
吸血鬼と化したディオは､ただの炎で倒せる相手ではなかった｡
ディオがそばにあった椅子を持ち上げる｡ディオの身体にまとわりつく炎が椅子にもその手を伸ばす｡

それを見たジョナサンが私とスピードワゴンを自分の後方へおしやる｡
「二人とも､邸から逃げろ!」

炎はいつの間にか邸全体に広がりつつあった｡