真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ3)

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第3話「夢だよな､あっれぇ?」ページ3

「何者だ!」
「ひゃっ…あの…Aと申しますです…はい…偶然通り掛かりました一般人です…灯りが必要そうに思えまして…」
「旦那様!いけません!子供とはいえ怪しいヤツを近付けさせては!」
「まぁ待て…」
旦那様と呼ばれている男が興奮気味の男を宥める｡
「すまない｡この男に悪気はないんだ､ただ私の身を案じての行動｡私の名はジョージ·ジョースター｡灯りをというのは本当かね｡」
「はっはいっ!そうであります!」
どもる私に「そうか､有難うお嬢さん」と優しく微笑む｡

うぉぉぉイケメンだあああ!
このおじ様マジでイケメンだあああ!
紳士だ!紳士!マジ紳士!
ん…待てよ｡
この名前どっかで…聞いたよーな｡

「えーと…灯りが必要というのは…その」
「ああ､実は大切な指輪をここで落としてしまったんだよ」
「今日は土砂降りだった上に､何か知らんが近場で騒ぎがあったらしくてな｡馬が動揺したみたいで､バランス崩しかけてよ｡幸い､横転はしなかったがな」
「その時に馬車の扉が偶然開いてしまってね」
「えぇ!!おっお二人とお馬さんにお怪我は!?」
「はははっ幸いにも二人とも無事だし､馬も無事だよ｡何せ､二人のうちの一人が腕の良い御者だったもので」
御者の男は照れているのか頭をかいている｡

「そ…それじゃあ指輪を探しましょうか」
「そうだね」
「ですから旦那様ァ｡頼みますから馬車に戻ってて下さいよォ｡風邪引かせでもしたら屋敷の皆に何言われるか」

それから約十分後｡
無事に指輪は見つかりましたとさ｡
「有難う｡君のおかげだ｡君は私の恩人だよ」
「えへへ…そんなぁ恩人だなんて」
再びニッコリと微笑むジョージ｡
思わず赤面してはにかむ私｡
それを見て何とも言えない顔をする御者｡

だっ誰かぁ!このおじ様の笑顔の写真撮ってぇ!!
私には撮る勇気ないからァ!スマホの画面に映った瞬間悶えて転げ回るだけだからァ!!

「ところで､君はどこから来たんだい?…東洋人かな?…珍しい格好だね…」
ジョージに言われ､ハッとして自分の姿を確認する｡
ずぶ濡れのTシャツに短パン｡そしてスニーカー｡手にはスマホ｡
一方､ジョージと御者の方は時代がかった格好に見える｡
本で見た｡19世紀頃の人達の服装に見えなくもない｡

えーと…
近くでコスプレイベントでもあったのかしら｡
てかコレ夢だよね｡
でも妙にリアル｡
超リアル｡

ありり～?

もっ…もしかして…現実?