真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ14)

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第14話「答え」ページ14

二人の殴り合いから数時間後｡
ジョナサンとディオは互いに違うタイミングで私の部屋に謝りに来た｡
二人とも自分の部屋で待機した後、ジョージからそれぞれ罰を言い渡されたとの事だった｡

最初に来たのはジョナサンで､すぐに謝罪の言葉を述べた上で私の事を終始心配してくれてた｡
どうやら私が泣いていたのと腰をぬかしたのを「自分とディオの殴り合い」に怯えてしまったからだろうと思ったらしい｡
この勘違いはディオも同様だった｡

実際は石仮面のせいなので､その点については二人とも非はない｡

目の前にいるディオは相変わらず猫を被りながら謝罪してきた｡
私に接する時もこんな感じなのだ｡
おそらくは私の事も利用する気なのだろう｡

「そりゃあ…ジョジョもディオも人間だもの｡衝突する事もあるんだろうけど…でも」
「ごめんよA｡僕もついカッとなってしまったんだ｡ジョジョとは意見の食い違いというやつでね…」
嘘だ｡
申し訳なさそうな顔から思わず視線を逸らす｡
「ディオ…聞きたいこと事があるんだけど」
「なんだい?今回は君にも迷惑をかけてしまったからなんでもいいよ」
再び視線をディオに向ける｡
「ディオは…私達の家族だよ…ね?ジョージ·ジョースターの子供で､ジョジョの兄弟で友達だよね?…ジョジョと同じく私の兄さんだよね?」
「何が…言いたいんだい?」
ゆっくりとした優しげな声音と冷たい視線に､ディオの本性が見えた気がした｡

「家族を…これから先…本気で傷付けたりしないよね?」

私は今､震えているだろうか｡

ディオの目にどう見えているだろうか｡

一瞬の事だった｡
何が起こったのか分からなかった｡
温かい感覚が私の身体を覆っているのを感じ､漸く理解した｡

私はディオに抱き締められている｡
「本当にすまない…そこまで君を怯えさせていたなんて」

酷く空虚な気持ちが私の中を侵略する｡
「ううん…もう…いいの」
ディオの身体の温かさをやけにハッキリ感じた｡

その後すぐにディオは自室へと戻った｡

私が聞いた事に彼が答えることはなかったという答えが心にべったりと貼り付いたのだった｡

翌日､私は焼却炉へと足を向けた｡
丁度､使用人が火をつけようとしているところだった｡
「待って！何か音がしない!!?」
駆け寄り､使用人を止め｡すぐさま中を確認すると｡
「ダニー!」

中には縛られたダニーの姿があった｡

警察の見解は強盗が邪魔な番犬を始末しようとしたというもの｡

犯人が捕まることはなかった｡