真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ13)

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第13話「恐怖」ページ13

「ぐぬぬ…メイド長…恐るべし」
翌日､私は書庫でグダグダしながらボヤいていた｡
ちなみに一応元気になったという事で屋敷の中をうろちょろする許可は出た｡

「そういえば…やっぱり神様の力って凄いよなぁ」
適当な蔵書を手に取り､開く｡
たしかに英語は教えてもらってはいるが､まだまだのレベルだ｡
しかし､「聞く､読む､話す」に関しては全然問題ない｡
スラスラいける｡
実にありがたいトリップ特典｡
「書くのはアレだけど…うん…頑張ろう」

「えーと…メアリーは…処刑……騎士…もｯ!もしやコレは」
そーっとその本を元あった棚にしまう｡
あの話は…｡

読まないでおこう｡
読んだらフラグが立つ気がする｡
既に少し読んじゃったけど｡

あの…神様｡
余計なフラグ立てないでくださいよ｡
平凡に生きたいので｡
そりゃあ波紋に興味はあるけど｡
リサリサみたいにカッコよく戦ってみたいけど｡

戦うとか無理っす｡

瞬殺される…｡
あ…でも不老不死になるんだっけ…｡

てか､どうやってなるの?
石仮面で吸血鬼コースは､やだよ｡

最近メールないし｡
返信しようとしても出来ないし｡
どうしたもんか｡

悶々としながら､書庫から出る｡

「石仮面…もう一度よく見とくか」
何故か石仮面が気になった｡
誰も居ない廊下に私の小さな声は消えていった｡

玄関に向かうと､何やら騒がしかった｡
「この声…ジョジョとディオ?…何か揉め」
そこで私は思い出した｡
ディオがしたエリナへの仕打ちをジョナサンが知り｡
ジョナサンとディオは激しい殴り合いをするという事を｡
「嘘ｯ!!もうそこまで展開が!!」

とにかく走った｡
階段が見え､下を見下ろす｡
目に飛び込んできたのは､ジョナサンとナイフを持ったディオの姿｡
床に石仮面が転がっていた｡蜘蛛の足のようなモノを生やして｡
「二人とも!やめてぇｯ!!」
思わず半ば悲鳴に近い叫びをあげる｡
正直､恐怖で涙が出る｡

ジョナサンとディオは同時に私の方を見る｡

「何事だ」
そしてジョージが登場した｡
今度は二人と､そして私もそちらを向く｡

ジョージはジョナサンを批難し､ジョナサンとディオの二人に部屋に戻るよう告げた｡
私はといえば､ほぼ半泣きで腰をぬかしてしまい｡
執事によって部屋に運ばれた｡

こわかった…｡

アレが……｡

アレは私の大切なモノを壊すという警告を本能が囁き続けた｡

アレは人間を「餌」にしてしまう｡

人生を容易く破壊してしまう｡

私はこわかった…｡

石仮面が…｡