真逆で始まる奇妙な冒険～ヴェスパー・リリー～ (ページ11)

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第11話「お義兄様を励まそう」ページ11

やぁこんばんは!
紳士淑女の皆様!
私は今､ジョナサンの部屋にこっそり向かっています｡
数個の小さなパンを持って｡

食事の時にジョナサンはジョージに叱られ､食事をさげられ部屋へと戻ってしまったのです｡
私の場合はまだマナーはお勉強中｡なので大目にみてもらっております｡
なんか申し訳ない｡

ジョージの自分の子にも紳士として立派に育って欲しいという気持ち､分かってる｡
だから厳しくするんだよね｡うん｡

でもお腹空いたら､マナーとか色々頭に入らないよね｡
ジョナサンだってこれからでも学べばいいんだし｡

というわけで､我が義兄ジョナサンを元気づけようと自分なりに考えている所存｡

部屋のドアをノックし､小声で確認する｡
だってぇ…見つかったら…ねぇ…｡

「ジョナサン､入っていい?」
「その声は､A!…い…いいよ」

ジョナサン､板チョコ食べてる最中だった｡
「あの…コレは…偶然､見つけて…つい」
招き入れといて､ハッとしている｡
どうやら突然の私の来訪に驚いて板チョコの事を一瞬忘れていたらしい｡

焦る姿が可愛すぎて悶える｡
心の中で｡
といってもジョナサンは真面目に困っているので気を取り直して私から話し出す｡
「大丈夫｡秘密にしとくから､ね｡それに私だってコレ持ってきたから｡ていうか､バレたら私も怒られるだろうし」
えへへ､と笑いながら数個のパンを差し出す｡

「難しいよねぇ…マナーとか｡……私もまだまだだし､一緒に頑張ろう!そして､立派な紳士と淑女になろう!お義父様だってそうなって欲しいから厳しくしてるんだよ!だから嫌われてるとかないよ!絶対ない!」
私なりに身振り手振りを付け､これでもかと明るく話す｡

すると､ジョナサンは少し微笑んでくれた｡
「うん､頑張ろうね」

ディオがジョナサンを孤立させようと策を巡らせている｡
私はディオから守りたい｡
私を助けてくれたジョージ｡
慕ってくれるジョナサン｡
私を見守ってくれる使用人の人達｡

でももしかしたら､ディオが改心してくれるんじゃないかと心のどこかで思う自分がいる｡
そうなれば､ジョースター家が大変な因縁を背負う事はない…はず｡

そんな最中ふと､思い出した｡
石仮面の事を｡

「……コワイ…なぁ」
口元に手を当てポツリと呟く｡

「ん?何か言ったかい?」
「ううん!なんでもないよ!」