7日目�� ページ19
お互い無言のまま参道を進む。
Tシャツにハーフパンツの俺と、ワンピースのA。
今の祭り会場じゃ、ある意味浮いてるかもな。
「あっちの、上の神社の裏が意外と穴場らしい。そこまで行くか」
そう振り向くと、少し息が上がったAが頷いて、不味い、ペース合わせてやんなきゃ、と背筋が伸びた。
露店を横目に上の神社目指してゆっくりと歩いている時だった。
『…てっちゃん、あれ欲しい』
Aが指差した先にあったのは、子供向けのちゃっちいプラスチックのアクセサリーが並ぶ露店。
俺が言葉を発する前にAはもう露店の方へ向かってしまったので、慌ててその背中を追った。
「いらっしゃい」
頭にタオルを巻いた、いかにも、みたいな親父が声を掛けてきた。
Aは目の前のアクセサリーをじっと見つめて吟味しているようだ。
まぁ、Aが喜ぶんならこんなものでも、とその後ろ姿をじっと見つめているとAがくるりとこちらを振り返った。
『てっちゃん、これと、これ』
コロン、と俺の掌に乗せられた、オレンジと青の指輪1個ずつ。
子供用の指輪だから、その輪っかはとても小さい。
「このふたつ、でいいのか？」
『うん！』
そう満足そうに笑うので、まぁいっか、と露店の店主に声を掛けそのふたつを買った。
2つで200円。
見た目だけじゃなくて値段もチープだ。
買ったその2つの指輪をAの手に手渡すと、Aがにんまりと笑って言った。
『てっちゃん、手出して！』
「て？」
『うん！』
取り敢えず言われるがまま右手を差し出すと、そのまま俺の小指に青い指輪を通した。
子供用の指輪なので、勿論第1関節辺りで止まってしまう。
『……ちっちゃかったね』
「まぁ子供用だしなぁ」
困ったように眉を下げながらこちらに顔を向けたAは優しくふわり、と笑った。
『それ、てっちゃんにあげる。てっちゃんのやつね』
キミは指輪を渡す意味を、理解しているのかな？
Aが自分の指にも余ったオレンジの指輪を通そうとしたので横からそっと取り、Aの左手を取って嵌めてあげた。
『Aにもちいちゃいなぁ』
「しょうがねぇな」
薬指でキラキラ安っぽいオレンジの輝きを放つ指輪。
でも、そこに込めた思いは本物。
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えみ - 話が美し過ぎた… (2020年7月20日 3時) (
レス) id: 4b46f7439f (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - *ameto*さん» ありがとうございます！曲とともに見て頂けて嬉しいです。イメージ通りのお話になっていたでしょうか？是非また他のお話も見て下さると嬉しいです！ありがとうございました！ (2019年9月6日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» ありがとうございます！今回は今までの橙さんとは違った雰囲気のお話だったので、不安でしたがそう言って貰えて嬉しいです！でもやっぱりラブラブなお話が書きたくなるので、また次の橙さんに期待していて下さい！ (2019年9月6日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
*ameto*(プロフ) - 完結おめでとうございます。こうなるとわかっていても避けられない、2人の運命にうるっと来ました…。神曲を教えてくださって、こんなに素晴らしい作品を読ませていただいて、本当にありがとうございました！ (2019年9月3日 0時) (レス) id: 7b77494f9e (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます！執筆お疲れ様でした！毎度のことながら、素敵なお話をありがとうございます！ヨウさんの書く橙さんが大好きです！心がギュってなって、きゅんってなって。次回作も楽しみに待ってます！また橙さんをお願いします！！！ (2019年9月2日 18時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨウ
| 作成日時：2019年8月27日 11時
