はたらくおにいさん。

橙×ホスト ページ28

日中、沢山の賑やかな声で溢れるこの街は、
日が落ち、ネオンが光り出すと共に
もう1つの違う一面を顔出す。







今日は出勤じゃないから、髪型もメイクも服装も気合いの入ってないラフな姿。
きっかけはアイツからの営業メール。
最近仕事忙しくて遊べなかったし、久々に行ってやろうかなって。
そんな、感じ。



「ようこそ、club OnAへ」


そう言って開かれる扉。
顔馴染みのボーイが私に気付くと、ニッコリと笑った。


「お久しぶりです。てつやさん、で宜しかったですか？」
『ええ、お願い』


ニッコリ返して部屋の奥の席に通してもらう。
暫くすると、私にメールを送ってきたアイツが顔を出した。


「A、やっぱり来てくれた」
『何言ってるのよ白々しい。あんなメール送っておいて。って言うか、その名前で呼ばないでくれる？』
「えーイイじゃん。ここはAの店じゃないんだし。今は、俺の女、でしょ？」


そう言って笑みを見せる、この店のNo.1ホスト、てつやだ。
何の断りもなく、私の隣にボスンと座ると足を組み、片腕を私の座る背もたれに伸ばし肩を抱かれた。


「まじ会いたかったから来てくれて嬉しい」
『……アンタが私の店来ればいいじゃない』
「えー！俺今月厳しいの！来月行くから許して！」


先程の余裕の笑みはどこへやら。
今度は子犬のように眉を下げ、丸い瞳でこちらを見る。
本当にコイツは…


「Aさん、そいつ今月馬鹿みたいに金使ってんの。許してやって」
「代わりに俺たちがAさんのお店行こうか？」


見上げるとそこにはこの店のNo.2,3が揃っていた。


『あら、店のTop3が私なんかのところ来ていいの？』
「何言ってるの、Aさんだから、でしょ？」
「隣座っていいー？」


そう言うとNo.3のとしみつは私の返事を聞く前に私の隣に堂々と座った。


『本当、としみつ自己中なんだから』
「うるせぇー」
『りょうくんもどうぞ、座って？』
「ありがとうね、Aさん」


お店の顔とも言える面々がズラズラと座り、周りから注目の的。
それはそうだろう。
私だって有名店のNo.1キャバクラ嬢だ。


「おい、としみつー！Aは俺のだかんな！触んなよ！」
「うるせーうるせー」
「騒がしくしちゃってごめんね。Aさん、何飲む？」
『本当、もう少ししたらとしみつ連れて帰ってくれる？あ、ありがとう。そしたら、りょうのオススメ入れてもらおうかな。りょうも好きなの飲んで』
「ありがと。Aさんにピッタリなの入れるね」

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