橙×鳶職 ページ1
私は高いところが苦手だ。
誰かが高いところに登るのを見ているだけで目眩がする。
でもついに、回避出来ない自体が起きた。
『え、目の前の家立て替えるん?』
マンションのポストに入っていた工事のお知らせ。
内容は目の前の家を取り壊し立て替えるので騒音ご迷惑お掛けします、というもの。
目の前となっちゃ、避けられない事態。
しかも私の部屋からはバッチリその姿が見えるだろう。
『参ったなぁ…しばらくカーテン締めながら生活か…』
でもまぁ決まってしまったことはどうしようもない。
多少我慢すれば良いだけ。
見なければいいだけ!
そう言い聞かせた。
目の前の家が取り壊され、土台が出来、柱が立っていく。
そしてその周りを取り囲むパイプと足場。
これからどんどん職人さんが登っていくのだろう。
ちらりと横目で見ると、職人さんの中に一際目立つオレンジの髪の毛を後ろで乱雑に束ね、タオルを巻いたお兄さん。
グレーのニッカポッカを履き、黒のベルトで締め、白のTシャツを腕まくりしている。
そこから伸びる逞しい腕が、重たそうな鉄パイプを軽々と持ち上げている。
おお、すごいな…なんて思わずまじまじと見つめていると、1人の工事のおじさんに声を掛けられた。
「お嬢ちゃん、ここ住んでんの?」
『はいぃぃ!?』
突然声を掛けれてびっくりした。
思わず変な声が出てしまうし、その声に反応したオレンジ頭のお兄さんがこっちを見ているし、恥ずかしいやらなんやら…
声を掛けてきたおじさんはゲラゲラ可笑しそうに笑ってこちらを見た。
「そんな驚かんでもええだろ!」
『す、すいません…』
ちらりとオレンジ頭のお兄さんを見ると、もう興味を無くしたようで仕事の続きをしていた。
「明日っから本格的に始まるから迷惑掛けるかも知らんけど、堪忍な!」
『あ、いえ、そんな…ご苦労様です』
「てつやー!お前も挨拶ぐれぇしとけー!」
そう呼ばれて振り向いたのがあのオレンジ頭のお兄さん。
ガシャン、と持っていた鉄パイプを下ろすと面倒くさそうにダラダラとこちらに歩き頭を下げる。
「……っす」
「なぁーに覇気のねぇ声出してんだ!」
「いや、先輩が声でけぇだけっしょ」
そうボリボリ頭をかくとそのまままた持ち場に戻って行った。
「悪ぃなー愛想なくて!」
『いえ、こちらこそ邪魔しちゃってすいません』
なんか申し訳なくて、簡単に挨拶しそそくさとマンションへ戻った。
なんか、取っ付き難い人だったな…。
思い出すは、オレンジ頭。
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ヨウ(プロフ) - ななみさん» そう言っていただけて良かったですー!また続編の方にも遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月25日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キュンキュンしちゃいました〜!すっごく読みやすい文章で大好きです!ありがとうございます! (2019年6月20日 22時) (レス) id: d77610da69 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - なぁさん» いつもありがとうございます!中村先輩、まだキャラがブレブレで申し訳ないです…続編頑張りますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます!寛太先生続編書かせていただきました!期待に添えたものではなかったら申し訳ありません…また遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストにお答え出来るようなお話書けるか分かりませんが…はたらくおにいさん。の橙くんはツンツンキャラが多かったので頑張ってみますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨウ | 作成日時:2019年4月21日 1時