十四匹目 ページ14
「服脱ぎ出したときはどないしようかと思ったわ、流石に蜘蛛神様にも、Aの裸は見せたないねんもん」
『…ぁ、あ…』
「ん？あ、そうか、急に目の前で人殺されたら驚いてまうよな、すまん、でも慣れてな？Aと結ばれた後でも、蜘蛛神様にはお世話になるんやから」
『あぉ、い…あおいちゃ、んが…』
「この女のことか？ええねんこいつは、長いことずっと邪魔してきてんから、本当なら、もっと早く済むはずやったのに」
身体に力が入らない。
ゾムさんは何か言っているけれど、よく理解できない。
葵ちゃんが、折角、生きていたのに。
私のせいで、また、私のせいで、葵ちゃんが…。
…また、って、何…？
「薄着なん、すけべやな…んふ、少しのつまみ食いくらい、別にええやんな」
…違う、私のせいじゃない。
何が？私は何を否定している？
何をこんなにも恐れている？
違う、私じゃないのに、でも、でも、私じゃないけど、彼でもないの。
…あれ、彼って、誰だっけ。
「愛しとるで、A」
抵抗できなかった。
恐怖もあったけど、それ以上に、ゾムさんを拒む理由も権利も、私にはないような気がした。
唇を重ねて、舐められ、舌が口内を這い回っても、私はただただ、彼に身を委ねていた。
これがさも、当然のことであるかのように。
これを、望んでいたかのように。
「___Aっ！」
途端、響いた声と同時に、温もりが離れていった。
咄嗟に、手を伸ばしてしまった。
寂しかった、ゾムさんの温もりが消えてしまうのが。
それを見て、驚いたような瞳をしていたのは、トントン君だった。
『と、とんとん、くん…』
「…何で、なあ、今、何したん」
『へ、あ、…えっと、…』
「後で、ちゃんと説明してな」
そのまま手を引かれて、部屋を出た。
所々傷ができていて、先程まで戦闘していたことがわかる。
戦争なんて無縁のこの国で、まさかこんな惨劇を目の当たりにすることになるなんて。
葵ちゃんが死んでしまった悲しさと、ゾムさんからのキスを受け入れてしまった事実と、混ざりすぎてもう、よく分からない。
「っ、Aちゃん、無事やったか！」
『ロボロ君、コネシマ君も…』
「何で急に何処か行ってしまうん！何かあってからじゃ遅いんやぞ！」
『ご、ごめんなさ…』
暫く走って、地下から離れた部屋に入ると、そこには二人ともいた。
コネシマ君からの雷が降る中、見えてしまった。
血塗れで横になっている、鬱の姿を。
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うっちゃん - 私もこういうの好きです。~^〜^~ (2020年9月24日 16時) (
レス) id: 000505beae (このIDを非表示/違反報告)
星舞__(*´ `*) - これ読んでる時号泣しました……こういう作品私めっちゃ好きなんですよー！更新頑張ってください！ (2020年9月23日 16時) (レス) id: 5f2a936d4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 x他2人 | 作成日時：2020年8月14日 10時
