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グルッペンからの要望で、私は彼の部屋に移動することになった。
仕事場は別なので、会える時間は、やっぱり朝と夜と限られているけれど、前よりかは少しだけ増えた。
完全に養ってもらっている身なので、部屋の掃除や洗濯など、最低限の家事はやっているが、大半、本を読んで過ごす生活に変わりなかった。
『…ふ、ぁ…』
欠伸をしながら本をめくる、そんな平和な日々が、淡々と過ぎていく。
記憶が戻った後、みんなと会って話をしたり、お茶会をしたりしていたのだが、最近、ぱったりとそれは止んでしまった。
廊下でも、食堂でも、みんなと会わなくなったのだ。
『…どうしたんだろ、忙しいのかな、帰省中とか…？』
一言くらい声をかけてくれる気もするのだが…忘れていたり、すぐに帰ってくる予定だから、言わなかったのかもしれない。
心配ではあるが、特にそう言った事件やら騒動は耳にしていない。
食事を運んでくれるメイドさんが主な話し相手兼情報源だが、今日もニコニコと昼食を運んでくれたし、そんな話題もなかった。
『…散歩でもしようかな』
ずっと部屋に篭りがちになっていた。
そのせいで、少し考え込んでしまうのだろう。
そう思い、最近行っていなかった庭園に散歩に行くため、部屋を出た。
そして、階段を下りようとしたとき、廊下の先で、壁にもたれかかる誰かの姿が目に入った。
『…葵？』
ふらふらとした足取りなのに、それでも歩こうとする彼女に少し近づけば、すぐに葵だとわかった。
見るからに体調は悪そうだし、近づけば近づくほど、顔が青いのがわかった。
『葵っ、どうしたの！？』
「……A…？」
『そうよ、それにしても、顔色悪いよ、誰か探してたの…？安静にしてなきゃ、っ！？』
「うつ、くん…鬱くん、どこにいるか、知らない！？鬱君、昨日から帰ってこないのっ、私、私っ…！」
数歩よろけるほどの力で、急に肩を掴まれ、驚いたのも束の間、その言葉に、固まった。
…1日帰ってこない程度で、こんなにも乱れるほど、彼女は彼に執着していただろうか。
前世での彼女は、3日連続で友人の家に泊まった彼の愚痴をこぼしてはいたが、呆れた様子でしかなかった。
「どうしよう…嫌われた…？私、そんなつもりじゃ…本当に鬱君のこと好きなの、誰よりも好きなのに…まさか、他の女…？そんなっ、嫌だ、やだよぉ…」
『…きっと仕事が忙しかったんだよ、ね？』
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書籍姫 - 控えめに言って泣いた。好き。 (5月24日 14時) (
レス) @page28 id: e3ea7725f8 (このIDを非表示/違反報告)
セエレ(プロフ) - こんな神作がホイホイ見つかるもんだからこの界隈はやめられねえ… (5月24日 2時) (レス) id: b81e176fb0 (このIDを非表示/違反報告)
セエレ(プロフ) - 完結おめでとうございます！思ってたのと360°くらい違ったのにお気に入り小説のBest3に入るくらいの神作でしたよ…もう一度で二度どころか十度くらい美味しかったです…ご馳走様でした…書籍化して良いと思うこの小説. (5月24日 2時) (レス) id: b81e176fb0 (このIDを非表示/違反報告)
なな - コメント失礼します！想像を斜め上行く神作でした！！他の作品も見てみますね！！ (2022年12月14日 19時) (レス) @page27 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - 神作品です！大好き！ちょっとメリバちっくな所大好きです！ (2022年7月10日 10時) (レス) @page27 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 x他1人 | 作成日時：2020年4月19日 13時
