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従業員「…オーナー」
その人物はここのオーナーであり、岡田准一くんのお父さんだ。
目が合った途端、松本さんと大野さんの間をすり抜けその場から離れようとした。
岡田父「待って！翔くん、ちょっとお話ししよ？」
「すみませんが、俺からは話すことないので…」
失礼しますと続くはずだった言葉は続けられなかった。岡田さんが俺に頭を下げていたからだ。
岡田父「すまなかった」
「…ちょっとだけですよ、話すのは…」
俺は岡田さんに近付いた。
岡田父「ありがとう、すぐ終わるからね。…皆の席の準備は出来てる？」
従業員は出来てますといった。
岡田父「なら、ご案内してあげて、外にいる女の子達も一緒に」
はいと言うとバタバタと従業員が案内を始めた。
ここじゃ話しにくいし外行こうかと言う岡田さんに頷き、外に出た。
「…それで」
岡田父「あの事件、翔くんは何も悪くないのに突き放してしまって本当にすまなかった。准一から翔くんが同じ会社に入って来たと聞いて謝れるかもしれないと思っていたんだ。」
「確かにあの頃は辛くて辛くて死にたくなりました。それに…あの会社には…」
岡田父「…林田さんがいるんだろ？准一から聞いた。」
小さな声ではい。と答えると岡田さんは心配そうな顔をした。
岡田父「大丈夫なのか？」
「大丈夫です、何とかしますので…」
岡田父「…無理はしないように」
俺ははいと答えると失礼しますねといいその場を後にし、あゆみの所へ急ぐ。
あゆみの病室に入ろうとすると中から聞こえてきた声に動きを止めた。
「だから、あの出来損ないをあゆみに近付けないようにしろ。これはお願いではない。命令だ。」
渡海「…でも」
「あいつがあゆみに近付くから状態が一向によくならないんだ！あの死神が…あいつが…ば良かったんだ」
渡海「翔にも」
「あんな奴の名前なんか出すな」
分かったな？という声と同時にこっちに歩いてくる音がする。
…まずい！隠れないと！
急いでトイレに駆け込む。
しばらくしてからトイレから出て、病室に入る。
病室に入るとハッという顔をしてこっちを見る征司郎先生が…
渡海「…翔」
「…あの人来てたんだ」
渡海「お前、聞いて…」
「ごめん…俺にはここに来ないなんて選択は出来ない…あゆみは俺にとって大事な家族だから…本当にごめん」
そういうと征司郎先生は悔しそうに唇を噛み締めごめんと言った。
「先生は悪くないでしょ…悪いのは…俺だよ」
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作者名：dccat96love | 作成日時：2021年8月3日 16時
