あたため過ぎにご注意ください（青)

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寂しさを紛らわすために自分が望んで見たあなたの動画や画像。

「この表情はあたしだけのものじゃないのか」

なんて当たり前のことに気付いて切なくなった。



あなたのマンションの厳重なセキュリティーは、あなたとあたしとの間にある壁のように感じられるから、嫌だった。



あなたと大倉さんが並んで立っているのを見て、やっぱりなんだかキラキラしていて。

同じ空間にあたしがいることが不自然に思えてしまった。



あなたのテリトリーに入ることを避けていたのは自分のくせに。

そこに当たり前のように存在して、勝手知ったる様子で動く大倉さんに、嫉妬した。



そんなグッチャグチャな自分の感情を、綺麗に繕いながらあなたに伝える程の高等技術を持ち合わせていないんだもの。






「ーーほんま、あほやなぁ、Aちゃん…」


あー…それ、久しぶりに聞いたな。

実はあたしの大好きなやつ。

しかもいつもより更に…


「ーーホイップクリーム、増量中？」

「なんやねん、それ。」

だって、

あたしの腰に優しく絡みついている腕も、

近過ぎる距離で覗き込んでくる瞳も、

そのまま距離を詰めて目尻に触れた唇も、

ふはっと笑うその吐息まで…

「甘過ぎるよ…」

グッチャグチャの塊のまんまで吐き出されたあたしの感情を、一番欲しい言葉で受け止めてくれるなんて。

本当にこの人は甘過ぎる。


そうだよ、あたしは、あほなんだよ。



「俺の家、やっぱり落ち着かん？

Aちゃんが嫌なら、もう無理して誘ったりせぇへんから。

俺なぁ、Aちゃんの部屋、大好きなんよ。
あの部屋におると、五感全部でAちゃんを感じられるから。
匂いも、空気も、気配も、色合いも、温度も、ぜーんぶAちゃんやねんもん。
ずーっとあの部屋におりたいくらい、好きやねん。

だから、俺の家にこだわる必要なんかなかったんよね。

むきになってもうて、ごめんなぁ。」


ああ、本当にこの人は…

こんなにあたしを甘やかしてどうする気なんだ。

いつもいつも、きちんと伝えてくれているこの人に、あたしはどれだけの言葉を返せているだろうか。


「ーーあたしも…」

「ん？」

「あたしも、この部屋、好きだよ？

しょーたの匂いがする。
しょーたの気配がある。
しょーたの好きなものが、大切なものが、沢山詰まっていて。

ーー何より、しょーたがここにいるんだもん。

嫌なわけ、ないじゃない…」

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