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「ヤッさん、ちゃんとAちゃんのこと送ってあげてね。
どっかのアホみたいに撮られたりしないようにね！」
そう念を押すアキさんを強引にタクシーに押し込んで、
「もぉ、分かっとるからっ
ほな、お願いします。」
タクシーの運転手さんに頭を下げる章ちゃんは、やっぱりお兄ちゃんみたいで、
見た目がだいぶ若く見える章ちゃんだから、そのチグハグな感じがとても微笑ましかった。
思わずふふっ、と笑ったあたしを見逃さなかった章ちゃんが、
「ン？なにぃ？」
振り向いてキョトンとした顔であたしを見た。
「ごめんなさい、仲良いなぁと思って。」
「おれとアキも、もう２０年近くになるからなぁ。
世話のやける妹みたいなもんやわ。
アホやなぁと思いつつも、何かかんか、ほっとかれへんねん。」
ふはっ、と優しく笑うその顔も、ちゃんと��お兄ちゃん��していた。
そう、彼はちゃんと��お兄ちゃん��をしていたのに、
気付かない振りをすることだって出来たのに、
「ーー辛く、ないんですか…？」
勝手に漏れ出た言葉。
だけど耳に届いた自分の声に、後悔した。
酷く無責任に、そして安っぽい同情を含んでいるように聞こえたその言葉が、
彼を傷付けてしまうのではないかと思ったから。
だけど、あたしの言葉に少しだけ目を開いて驚いたような顔をした章ちゃんは、
「ーーやっぱAちゃんは、ヒトのことよぉ見えてるよなぁ。」
ゆっくりと静かに、微笑んだ。
それは何かを誤魔化すためのものではなくて、
とても自然で穏やかな笑顔に見えた。
「けどなぁ、もうそんな色っぽい生々しい感情と違うんよ？
２０年も見続けてると、そらいろんな感情も経験してきたけど…
おん、今はもう見届け人って感じやなぁ。」
淡々と、だけどちゃんと長い年月の想いを大切にしているような話し方が、
彼の人柄を表しているようで、
それがどこまで本心なのかはあたしには測りかねたけれど、
プライベートでは初めて会ったような間柄のあたしに、こんな風に話をしてくれたことに驚いた。
そうして、あたしはこの日、
もう一つの長い恋のお話の観客になることを許されたような気がした。
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まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆せっかくリクエストいただいたのに随分遅くなってしまってすみません(;´д｀)読んでいただけてヨカッタ〜( ´∀｀) (2020年5月31日 11時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - リクエストにお応えしてくれてありがとうございました。此方に感想失礼します。読みました。とてもお話が面白くてお二人の様子が可愛らしくてお話の中だけど幸せになって欲しいと思ってしまいました。これからも頑張ってくださいね。 (2020年5月30日 1時) (レス) id: 381d27e867 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - 美波さん» 美波さん☆コメントありがとうございます！幸福論はいつもとテイストが違いシリアス強めな作品ですが、私自身も気に入っているお話なので、大好きを頂けてとっても嬉しいです( ´∀｀) (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆お返事遅くなってすみません(＞人＜;)横山君のお話、実は私も書きたかったのですが、もう話数がいっぱいでアップ出来ず…かと言って別の短編集に突っ込むのもいきなり過ぎるし…と困っております(;´д｀)どこかに置き場が出来たら書いてみますね！ (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 初めまして。いつも作者さんの作品たくさん読ませていただいてたのですが、初めてコメントします！好きなお話沢山あるんですけど、このコトノハの幸福論が本当に大好きで何回も読み直してて、伝えずにはいられなくなりコメントさせてもらいました^ ^ (2020年5月22日 2時) (レス) id: 2630bc6126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2019年12月14日 17時
