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「、、っ、待って」
玄関に向かってあたしの横を通り過ぎようとした信五を呼び止めた声は情けなく震えていた。
だけど、あたしの声に反応するように、ビクンと肩を揺らしてゆっくりとあたしを振り返った信五も、
驚きとか不安とか期待とか戸惑いとか、
全部ないまぜにしたみたいにぐちゃぐちゃで情けない顔をしていたから、
思わず、ふふっ、と息が漏れた。
そんなあたしにまた驚いたように二重を濃くした信五は、それから少し口を尖らせて、
「…何を、笑おてんねや。」
拗ねたような声を出すから、
また、ふふっ、と息が漏れて、
それからツンと鼻の奥が痛んだ。
「ーー何で、会いに来てくれたの？」
その痛みを逃すように、こっそりと深呼吸みたいに深く息を吸い込んでから、
言葉を吐き出した。
聞いてどうするのか、どうしたいのかなんて、自分でも分からない。
でも、やっぱりこのままこの人を行かせてしまったら、きっと後悔する。
その後悔のしんどさとか苦しさとか、もう痛いほど経験済み。これ以上はもうお腹いっぱいだ。
しばらく続いた沈黙と張り詰めた空気に息苦しさを感じ始めた頃、信五はポツリと呟いた。
「ーーさっき、言うたやんか…」
また少し尖らせた唇も、不貞腐れた声も、拗ねた視線も、
今のあたし達の間には必要のないもの、そぐわないもの。
今更そんな顔したってどうにもならないのよ。
そんなもので誤魔化されるはずないでしょ？
そう思う心の裏側から、
本能的に愛おしさが物凄い勢いで込み上げてくるから、
もう腹が立って、
そして心臓が握り潰されそうになった。
「ーーもっかい言うから、今度はちゃんと返事してくれよ。」
そういって真剣な表情を作った信五は、勿体つけるように少しわざとらしく息を吸って、
それから大きく短く息を吐いた。
「俺と、結婚してくれ。」
緊張したように赤らんだ頬や、少し膨らんだ鼻がやけにリアルで、
短い言葉も信五らしい。
それはあの頃のあたしが想像していた通りのプロポーズだったのかもしれない。
でも、だからこそ。
「ーー何で、今のあたしに言うの…？」
それを言うべき相手は、今のあたしじゃないでしょう？
「５年間、会えなくても大丈夫だった相手なんて、もう必要ないでしょう？」
そんなこと、あなたなら分かっているだろうに。
現実的なあなたにしては、あまりにも非現実的な事を言うのね。
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さくらもち - 更新されていた当時からこっそり読ませて頂いていました。久しぶりに読んでみて、やっぱりまめまめたさんの作る世界が大好きで、ずっと1番です。もうここにはいらっしゃらないかもしれませんが、どうか届きますように。 (3月7日 2時) (
レス) id: 5f7a39fac4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆今回も最後までお付き合いありがとうございます！こんな贅沢な眠れない夜なら大歓迎ですよね(//∇//)続き、やっぱり気になります？今妄想中のお話が書けたら、続編頑張ってみようかなぁ… (2021年6月4日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 飲みの帰りに大倉くんに焼きモチ焼かれて、安田くんに１日一人占め宣言されて、横山くんがゲロ甘…。こんな夜過ごしたらバチ当たるよね！バチ当たりたい！！続編、何卒m(__)m (2021年6月4日 2時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆新しいアルバムの特典とかにどうですか？！笑 お願いします、インフィニティさん（^人^） (2021年1月25日 13時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - え…この乙女ゲーム、どこでダウンロードできますか？(笑) (2021年1月23日 2時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年9月9日 13時
