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「ただいまー」

誰かが待っているわけではない部屋に向かってそう言いながら靴を脱ぐ、そんな私を笑いながら降谷も私の背中に続いた。

荷物をおろしながらスーツを緩める降谷を見るとバチりと視線が交わった。
そういえば、まだ仲直りしていなかったな……

「A」

いつの間にか彼が名前を呼んでくれるようになっていた。その温かみを含んだ声に反応して胸がとくん、と鳴る。

「すまなかった……」
「ううん、私もごめんなさい」

元はと言えば私の軽率な行動がいけなかったのだ。心の底から反省している。

「これで、零さんが頭を下げるのを見るのは2回目だね……」
「ああ、まあ…………でも、今度は違う」
「え……」

突然降谷の匂いが鼻を刺激する。頬にあたる布の感触に、自分が抱きしめられているのだと気づくにはそう長くはなかった。

「前とは違う、こうして抱きしめてやれる」
「れ、れいさ……」



ドクドクドク、と音が聞こえる。これが自分の心臓の音なのか、耳元から聞こえる降谷の心臓の音なのかわからないくらいに混乱していた。どんどん顔に熱が集まっていく。


「零さん」


名前を呼ぶと、降谷は少しだけ腕の力を緩める。それによりできた空間で私は彼の顔を見上げた。
綺麗な瞳がキラキラしていてとても愛おしいと感じる。


「私…………零さんのこと、好き」
「知ってる……」
「零さんは……?」

降谷はキュッと唇を一度閉める。キザな言葉とか、あっさり言えるくせに……



「好きだよ…………好きだ」

やっと出た言葉に、頬が緩む。
それと同時にまた彼の腕の力が強くなり、思い切り彼の胸に顔を打ち付けられる。

「ちょっと!!!」
「うるさい」
「もー痛いってば……」

ああ、なんて幸せなんだろう。
ずっと望んでいたことが叶った喜びを、外に出て叫びたいくらいだ。


「A」


彼の目はどこか泣きそうな顔をしているように見えた。ただそれは悲しみゆえのものではなく……………愛を確かめ合いたい。彼の目がそう語っていたのだ。

ゆっくりと近づいてくる降谷に合わせて目を閉じる。



あと少し____________








しかしそこで突然の電子音に2人の身体はビクリと同時に反応した。

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(プロフ) - ぱぱんださん» 殴り書き文に丁寧に感想くださりありがとうございます。勿論一部の方のみというのは重々承知ですのでこれからも私は続けていきたいと思います (2018年6月11日 1時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - が自身もよくわかるだけに、思わず長々とコメントしてしまいました。失礼致しました。そんな方たちばかりではないこともまた、わかっていらっしゃるかと思いますのでこれからもぜひ、更新頑張って下さいね(*^^*)応援しております! (2018年6月9日 22時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 少し目につき、少々思うところはありました。それだけ人気なジャンルであることは重々承知していますが、自分の作品として世に送り出す以上、最低限、マナーと責任は持つべきだと私は思います。持論を勝手に申し上げてしまって申し訳ありませんが、柚木様のお気持ち (2018年6月9日 22時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 前作から密かに読ませていただいております。ツンツンな降谷さん、とても素敵です!今回、騒動の件を読んでコメントさせていただきました。正直な所そのようなことが起こっていたことすら知らなかったのですが、無断転用や転用とまでいかなくとも非常に似た類似作品など (2018年6月9日 21時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - アレンさん» だいぶ感情に任せて書いたので無茶苦茶な文だったと思いますが読んで下さり、また同意してくださりありがとうございます。このような事を起こらせないことは難しいですが、そういった作品を消して行く事は可能です。お互い良い創作活動ができるよう頑張りましょう。 (2018年6月9日 7時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*柚木* | 作成日時:2018年4月1日 21時

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