検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:18,839 hit

16話 ページ17

着信履歴に、コナンくんと
表示されている。
一通りファイルをまとめた高木は
仕事終わりに電話をかけ直した。

2回コール音が聞こえた後、子供の
声が機会を通して耳に伝わった。


「あ、高木刑事?
お仕事、終わったの?」


「ああ、コナンくん。
今終わったところだよ。
電話気付かなくてごめんね。
どうしたんだい?」


「この前の事件の捜査、進んだかなーって。」


はは、と乾いた笑いが思わず出てしまう。
進展などあるわけがない。
今日もこんなに疲れたのに、増えた情報など
塵の一つもないのだ。
改めて現実を突きつけられた高木は
分かりやすくオーラに出している。


「あ、はは… 進んでないんだね」


子供にまで気を使わせてしまい
自分が情けなくなった。
日本人特有の、察しろ精神が今や
子供にまで扱えてしまうなんて。
この国の未来が思いやられる。


「あれから増えた情報と言えば
路側帯から道路にかけて赤ワインが
検出されたことくらいかな」


高木のその言葉に、小さな少年は
電話越しに聞き返す。


「赤ワイン…?」


「そう、赤ワイン。でもまあ。
あの辺飲み屋も多い通りだし。
酔っ払いかなんかが酒瓶ぶちまけて帰る、
なんてざらにあるそうだよ。」


「へえ、そうなんだね。
他には何も無いの?」


「うーん、あとは最初の捜査から
特に…。被害者の人も見つからないし
勘弁して欲しいよ、ほんと。」


秘密漏洩が凄まじいが今更気にしてはいない。
むしろコナンくんは頼っていい存在だと
割り切っている。
現に、コナンくんのヒラメキと
毛利さんの推理があってこれまでの現場は
乗り切っているのだ。
彼に話して損は無い。


「スーツメーカーのご子息も見つからないし。
どこにそんな隠れる所があるんだか…」


「あ、それって、ニュースでもよくやってる
スーツブランドの社長の息子さんが
失踪したってやつ?」


「そうそう。その人もまだ見つかってないん
だよね。佐藤さんも難しい顔してたよ。」


すると、電話の向こうから聞こえる
少年の声が少し低くなる。


「ねえ、高木刑事。その二つの事件の話、
明日詳しく聞かせてくれない?
何か、ヒントになるかもって新一兄ちゃんが
言ってたよ。」


「え、ああ。工藤くんがそう言うなら
いいけど…。僕も失踪の方は
あんまり詳しくないよ。」


と言うと、コナンくんは
大丈夫、ありがとう!と声を高くして
言った。
彼は時々、子供ではないと思わせる
雰囲気を持っているな、と
高木は電話を切った。

17話→←15話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
92人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 赤井秀一   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花音(プロフ) - いえいえ大丈夫です(* ´ ▽ ` *)無理しない程度に頑張ってください(*≧∀≦*) (2018年7月4日 13時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
酸化銅(プロフ) - 花音さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。最近ペース落ちてて申し訳ありません。頑張ります! (2018年7月3日 21時) (レス) id: 7ccb4bdc66 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます!! (2018年7月3日 5時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
酸化銅(プロフ) - 蒼さん» 感想ありがとうございます。初めて作品を作るので至らない部分があるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします! (2018年6月24日 10時) (レス) id: 7ccb4bdc66 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして作品とてもよかったです。今後の展開がどのようになるのか気になるので続き楽しみにしています。 (2018年6月24日 9時) (レス) id: 0cf1ca60f5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:酸化銅 | 作成日時:2018年6月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。