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『ありがとう、零さん』
感謝を述べて草履へ手を伸ばし受け取る。足元へ置いて履いてみた。爪先に少し力を入れてみたけど、ビクともしない前ツボ。こんな簡単に直せるなんて凄いなと感心していれば
「大丈夫そうか?」
『うん。だいじょ……あれ?』
先程まで目の前にいた零さんの声が、後ろから聞こえた。なんで後ろ?と顔を向けようとしたら「動くな。前を見てろ」と頭を抑えられる。
意味がわからず大人しく座っていれば、髪を掬われ手櫛が通る感覚。先程零さんが草履のお話をしてくれてる最中、留め具を外して、緩く結うように整えたんだけど……。
(治したくなるくらいには、まだぐちゃぐちゃだったんだ……)
内心で今日は厄日なのかな……?と落ち込んでいれば「こんなだったか?」と零さんの声。正面に戻って来た零さんが
「ん。大丈夫そうだ」
と私の頭を見ながら、数回首を縦に振ってる。意味がわからなかったけど、何となく頭がかっちりしてる気がして触ってみれば
『え?これ……』
「見よう見まねだが出来るもんだな」
見よう見まねで髪型のセットまで出来る零さん。何でも出来すぎでしょ……悲しくなるわ……。
『……零さんは女性になっても、スーパーウーマンになるね』
「なんだいきなり」
『……何でも出来る零さんの隣にいるのが私で』
良いのかな……?と言おうとしたら、遮るように両頬を手で包まれ目が合うように顔を上げられる。目の前には零さんの整った顔。吸い込まれるように目を惹くのは綺麗な碧。
「俺が隣にいて欲しいと思うのは君だ。側で笑っていてくれ。それだけで良い。君が……Aが俺の帰るべき場所になるから」
前半は怒りが込められたような色だった。けど後半には優しさの籠った色に変わる。数秒見詰めあったあと、私から離れた零さんは左手を差し出しながら
「ほら。祭りが終わるぞ?まだ回りたい場所あるんだろ?」
と何食わぬ顔をする。だから勢いよく立ち上がって、差し出された腕を両手で掴み渾身の力で引っ張る。私のいきなりの行動に少しだけ体勢を崩した零さん。私の目の前には
『私も貴方の隣で笑いながら過したい』
「……っ!」
左耳は愛を囁くには効果的!──なんだよね?零さん。
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雪丗(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» ここはこっちゃむ様との合作作品のコメント欄ですので、そのお話は私個人のボードかメッセージへお願いします。 (2019年9月11日 11時) (レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 雪丗さん» 後々になったけど、コナン作品の新しい小説も公開しているので、宜しくお願いします。 (2019年9月10日 21時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 雪丗さん» 色気って言うより、あの台詞で……目眩までは、いかなかったけど、たまたま、ベッド近くで読んでてとつぜん【ゴン…】としてしまったのですよ。 (2019年9月10日 21時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» 赤井さんの色気に当てられ目眩を起こし頭を強打ですか。痛いですね。申し訳ない(×_×)ですが赤井さんの色気はあれっぽっちではないと思うんです。ただあれ以上になると全年齢での閲覧は不可能なので抑えた結果がこれです!(笑)閲覧にコメントありがとうございました(^^) (2019年9月10日 21時) (レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - お二人とも、お疲れ様です! 最後の最後で赤井さんとの風呂のやり取りのあれは、あかんやろ!自分、頭を壁にぶつけてしまいました。 次回作や合作もがんばってください (2019年9月10日 8時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗&こっちゃむ x他1人 | 作成日時:2019年7月18日 9時