転生したら人間でした。なので、復讐します。【オリジナル】 (ページ9)

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「おい！これ鑑定しろ！

お前はそれしか能がないんだからよ。

この俺様が贔屓にしてやってるんだ。

最優先だろう。」

小さな集落に大きな怒号が響き渡る。

その怒号の持ち主であるアインは表情に不満を
滲ませ、先程渡された葉を鑑定士に叩きつける。

店にいた他の客は蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、
寂れた店はさらに活気を失った。

鑑定士はその顔にぎこちない笑顔を貼り付け、
震える手をかざし、鑑定した。

その瞬間、人の良さそうな彼の顔が見る見るうちに
驚愕に染まる。

そのアインとか言う冒険者の男はそれなりの力は
持っていたが、この《世界樹の葉》を手に入れること
は不可能であると、鑑定士は瞬時に察したからだ。

鑑定士の職業病とも言えるだろう。

前々から、アインは自分の才能に不釣り合いな
“結果”を持ってきていたが、鑑定士も深くは考えずに
言われるがまま鑑定していた。

だが、今回の“結果”は次元が違う。

この《世界樹の葉》は一枚、いやひとかけらさえ
煎じて飲めばどんな病も怪我も跡形も無く
治してしまう文字通りの“万能薬”だからだ。

これ一枚で一生遊んで暮らせるという夢のような
葉である。

だが、そううまくもいかないのが人生である。

なんの代償も無しに行くはずがないのだ。

その葉が生えるのは《ソプラの森》。

その森に踏み入ってすぐはいわゆる「初心者向け」。

だが、奥へと進むにつれて異様な気配が侵入者の
周りを包む。

その最奥に位置する《世界樹》に生えているのだ。

難易度がどうであれ、《世界樹の葉》の噂は
人から人へ。

その情報を頼りに森へ挑戦する者も少なくなかった。

重病の愛娘に煎じて飲ませてやろうとした者。

はたまた「よのなかは金が全てだ」と一攫千金を
狙った者。

自分の能力を過信し、更なる高みへと踏み出した者。

その森に入った者は誰であれ、二度と帰って
こなかった。

だが今、その者らの目的であった葉を持ち、
ぞんざいに扱った輩がいたのだ。

鑑定士が驚愕するのも無理は無かった。

～～

作者「今のところ、転生もしてないし復讐の片鱗すら
　見えないよね。」