アジト4 ページ14
「まあ大体分かったよ。何はともあれ、三冊目に繋がる手掛かりが掴めて良かったよね。…ところでAちゃん、ドレスは持ってる?」
『ドレスですか?……無い、ですね。』
トド松さんに言われて、私は暫し一考してから答えた。
これまでドレスが必要な場面と縁遠い私だ。
あるとしても軽いフォーマルで何とか使えそうな略礼装くらいだ。
「招待状を見る限り、少なくとも準礼装っぽいからドレスいると思うんだよね。そしたら僕らでいいの見繕ってあげるね。」
それ自体は有り難いのだが、ドレスは堅苦しくて動きにくいイメージがある。
『あの…それはすごく助かるんですけど…動きやすいスーツとかじゃダメですか?』
「「「「「「ダ メ !」」」」」」
何故か六人同時に言われた。
綺麗にハモっていたのは流石六つ子と言うべきなんだろうか。
「気持ちは分からなくもないけど、僕たちはハタ坊の連れとして行くんだから、動きにくてもちゃんとした格好して行かなきゃダメだよ。」
チョロ松さんがたしなめるように言った。
「…そんなこと言ってAちゃんのドレス姿想像して内心ニヤけてるんでしょ。…このシコ松が。」
トド松さんがぼそりと毒づいた。
「シコ松って誰だよ!!それなら僕よりも一松でしょ。」
「え?!な、なんでおれに振るの…?おれは別に…そ、そんなこと…」
突然話を振られた一松さんはおどおどしながらも私をちらりと見た。
私と眼がかち合う。
一松さんは気まずそうに視線を外すとたまたま視線の先にいたカラ松さんの元へつかつかと歩みよりおもむろに目潰しを仕掛けた。
「て、テメーだってそういう目で見てるんだろクソ松…!!」
「ぐああああ!!なんでオレぇぇぇぇぇ??!!」
カラ松さんは目潰しを諸に食らって地面を転げ回っている。
そこに十四松さんが何故か加わって一緒に転がりだし、それを嗜めるチョロ松さんとトド松さん、そんな四人をよそに何やら話し始めたおそ松さんと一松さん。
これはどういう状況なんだろうか。
最早私がここにいる必要はあるのだろうか。
一人よく分からない疎外感を感じていると、そんな私におそ松さんが声をかけてきた。
「あーAちゃん。そういうわけで、あと細かいところはこっちで詰めとくから、一旦部屋に戻ったら?一松、連れてってくんない?」
一松さんはおそ松さんに黙って頷くと此方へ来た。
私は彼に促されるままに、部屋を後にした。
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紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» ありがとうございます。ラストのオチはかなり早い段階で決めていたので、そう仰って頂き嬉しいです。夢主ちゃんは六つ子に振り回される運命なんだと思います。新連載も予定しておりますので、機会があればお付き合い下さいませ。本当にありがとうございました。 (2018年10月9日 1時) (レス) id: fdc73fc447 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!展開がどうなるんだろう?!と楽しみにしてました!!仕事が終わってもずっといる六つ子と夢主ちゃん...ほんわかが続きそうですねw素敵な作品ありがとうございました! (2018年10月8日 22時) (レス) id: f1c0b03c70 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 紫かぶらさん» いやいや、全然気にしませんよ?!無理しないで紫かぶらさんのペースでふぁいとです!急かす人なんていませんから!ちゃんと読みますよー!更新ファイトです! (2018年4月30日 1時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» 長期間更新していなかったにも関わらずこんな優しいコメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので、また読んで頂けたら嬉しいです。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: d7e8ff9b83 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - お久しぶりの更新お疲れ様です!待ってました!展開がすごい気になります!こうしんがんばってくださいー! (2018年4月28日 21時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫かぶら | 作成日時:2016年10月7日 1時