第28話〈ある日記〉 ページ29
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内緒で部屋に持ち帰って、そこでじっくり読もう。自然の流れで職員室へ行き、落し物として鍵を渡した。
無事に悟られず授業を終え寮に戻った私は、嘘を織り交ぜながら｢何をしていたんや｣と迫るオスマンの体を押し返している。
『あの後色々あって疲れたんだ、部屋に行ってもいいかい？』
オスマンは渋々小さく頷いて手を離した。
ーーーー
ぼんやりと部屋の片隅を眺めていた。テーブルの上には彼についての本。ベッドサイドのデスクに手を伸ばし水の入ったコップを口に寄せ、喉を通した。
ペラリと意を決して紙を捲ると、最初から彼についての悲惨な人生について事細かに記載されている。
『なに、これ。どういうこと？』
【ゾム・イフリート】
1XXX年11月26日AM8:17開始ーー。
・魔法、魔法薬ともに異常な反応はなし。
・私達を眺めるだけで特に動く様子はない
1XXX年12月12日AM7:10
・有名なフューラー家に頼み強力な魔法をかけたもらった。話を通していたからか、人を操る魔法を被検体に試したが嘔吐するだけだった。
どうやら、効かないではなく耐性だけらしい
1XXX年2月5日PM5時32分
・言葉を発した。私達の会話から学んだようだ
・発達が早い、身体能力が異常過ぎる
1XXX年7月21日AM9時58分
・私を父と言った、妻を母と言った。本を与えたのが間違いだったのだ。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、
手を出してしまった、ギザギザの歯をみせ歪な顔で笑っていた。
ひづけをかくひまがない
あいつらにみつかった、すぐににげる
あんなおぞましいこはもうひつようない
分厚い本の正体は唯の日記だった。
こんな事が実際に起こっていたのか、なんて薄々気づいてはいたのだ。｢耐性｣というのはこの世界を動かせる程の問題なのだから
撫でる事も知らない、人との付き合い方も知らない。事実を知ってしまった今、少なからず同情してしまった。
『この学校に保護されたというわけか』
考えれば考えるほどわからないことばかりで、考えれば考えるほど答えは遠くにある気がした。真実を知らなかった、今までのようにとはいかない。何も知らないと取り繕って今迄のように接する事は、出来ない。
あの時微かに笑った顔のゾムさんを思い出す。
悲惨な過去を抱えながらも、必死に継ぎ接ぎで生きている
だから、どうして私にあんな事を頼んだのか知りたかった
ただ、彼と向き合いたかった。
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かんぽ(プロフ) - タダノ・ミソニコミさん» コメントありがとうございます！中々進み具合が遅いので他の方と接触するのは、もう少し先やイベントの時に発展させていこうと思います！ (2020年7月14日 3時) (
レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
タダノ・ミソニコミ - もう、話の進み方がド性癖過ぎて語彙力溶けました、いつも無茶苦茶楽しみながらみさせていただいてます！毎回見るたんびに残念な頭で思考を巡らせながら読んでますw kn.utのシーンでどういうことだ？ってなりましたね…更新頑張ってください！後、大好きです！ (2020年7月14日 0時) (レス) id: 47c28898f7 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - トーストさん» コメントありがとうございます！どうやって皆さんを入れてみようかと悩みながらも、時間が経ってしまいすみません！今日中には続編へ行けたらいいと思っています…！ (2020年7月12日 1時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
トースト(プロフ) - 楽しく読まさせてもらっております。この作品めっちゃ好きです！作者様も好きです！(唐突な告白)体調に気をつけて更新頑張ってください！ (2020年7月11日 23時) (レス) id: 8d298a3565 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - 仰げば尊死さん» 羨ましいです、元気100倍…。頑張っていきます！ (2020年6月23日 2時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：H | 作成日時：2020年5月28日 1時
