第22話〈言い訳〉 ページ23
・
『確か、グルッペンさん？で合ってるかな』
gr｢お前が名乗らせておいて曖昧な聞き方は失礼だな｣
差し出した少し血の染みたハンカチを取り、頭を抑えるグルッペンさんの瞳はあの時と違って、初めて会った時の綺麗な瞳だった。幻だったのか、あんな冷たい瞳は人ができるようなものでは無い。
『あの、』
どうしてかと聞こうとした瞬間に鳴る予鈴。まさかの入学2日目で遅刻するとは、上を見上げれば彼も｢最悪だ｣と殴られたのか歩きだそうとした彼の体はフラついている。
彼に近寄り腕を掴み支えれば、あの杖の時と同じように振り払われてしまった。私を見ずそのまま歩き出すグルッペンさんに、負けじとまた支えるように今度は離すまいと掴めばギロリと睨まれる
gr｢支えは要らん。早く行かないと余計怒られるゾ｣
『いつ行っても遅刻は遅刻でしょう？だったら貴方を保健室に運んだと事情を言えばいいじゃないか』
gr｢狡い奴だな｣
『あら、そもそも巻き込んだのはグルッペンさんの方では？』
そう言えば何も言い返せず、きごちなく私の肩に手を置く。素直じゃないけど悪い人ではないのね、守ろうとしてくれたし。
ニヤニヤと彼を見ればそれに気づいたグルッペンさんはハンカチを握りしめた手で、輪っかを作り私のおでこにバチンと痛みを与える。何が怒ったのか分からずポカンとした私を見た彼は
少し、ほんの少しだけ笑った気がした
ーーーー
sn｢Aちゃんはよく運んでくるね｣
『今度は私には関係ないので』
扉を開ければ保健医のしんぺい神先生が呆れながらも椅子を運んでくる。グルッペンさんをそこに座らせれば眉に皺を寄せ｢骨が折れてるね｣と軽いノリで言った
その言葉に私は驚きグルッペンさんを見たが、平然とした顔で｢そうか｣と足を摩るだけだ。
足が折れていたのにあんなに自然と立っていたのか？そっと覗いた足は酷く腫れ、痣ができている。私に余り体重をかけずにここまで平気な顔をして歩いてきていた事実に私は言葉を失った。
白衣から杖を取りだしたしんぺい神先生は小さく詠唱すると、淡い緑色の光の粒がグルッペンさんの足に纒わり付き元の肌の色に戻っていく。
sn｢魔法をかけたばかりで疲れてるだろうから、次の時間は休んでいる事。｣
gr｢ありがとうございます｣
sn｢授業担当の先生には言っておくから。勿論Aちゃんの事情も｣
『ありがとうございます、それでは』
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1099人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かんぽ(プロフ) - タダノ・ミソニコミさん» コメントありがとうございます！中々進み具合が遅いので他の方と接触するのは、もう少し先やイベントの時に発展させていこうと思います！ (2020年7月14日 3時) (
レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
タダノ・ミソニコミ - もう、話の進み方がド性癖過ぎて語彙力溶けました、いつも無茶苦茶楽しみながらみさせていただいてます！毎回見るたんびに残念な頭で思考を巡らせながら読んでますw kn.utのシーンでどういうことだ？ってなりましたね…更新頑張ってください！後、大好きです！ (2020年7月14日 0時) (レス) id: 47c28898f7 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - トーストさん» コメントありがとうございます！どうやって皆さんを入れてみようかと悩みながらも、時間が経ってしまいすみません！今日中には続編へ行けたらいいと思っています…！ (2020年7月12日 1時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
トースト(プロフ) - 楽しく読まさせてもらっております。この作品めっちゃ好きです！作者様も好きです！(唐突な告白)体調に気をつけて更新頑張ってください！ (2020年7月11日 23時) (レス) id: 8d298a3565 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - 仰げば尊死さん» 羨ましいです、元気100倍…。頑張っていきます！ (2020年6月23日 2時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：H | 作成日時：2020年5月28日 1時
