犬系女子と飼い主系男子【梵天】

キス禁止令 ページ9

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そこで、はっとする。


万次郎のこの命令のせいで、
こんな風に私ひとりが
甚大な被害を被っているんじゃないか。



そんなの、許せない。


キスが何だ。噛まれるよりよっぽどマシだわ。



抗議してやる！！






蘭「こらこら、どこ行くんだよ」


『万次郎に文句言いに行ってくる』


竜胆「やめとけ、怒らせたら面倒くせーぞ」






灰谷兄弟の制止も無視して、
勢いよく歩き出そうとして……



ガクンと前につんのめる。


そうだ、鎖に繋がれてたんだった。



勢い余って転んだ私を見て、
笑いを堪えるゲス兄弟がほんとにムカつく。






蘭「バカすぎて愛しいなぁオマエ」


竜胆「その可愛さに免じて一瞬だけ鎖外してやる。

ぜってー逃げんなよ」






なぜかお情けで鎖を外してもらえたので、
気を取り直して意気揚々と
万次郎の部屋に踏み込んだのだった。






『万次郎！』






ボーッと窓の外を眺めていた万次郎に
ツカツカと詰め寄った。



何が起きても揺らがない真っ黒な目がこちらを見る。






『他の人に「Aにキス禁止令」とか
出してるんでしょ。取り消してほしいの』


万次郎「なんで？」


『キスくらい全然いいよ！

あのね、見てこれ、
さっき蘭ちゃんにこんなに噛まれて……』






私は地雷を踏んでしまったことに気づく。



万次郎の私の唇への執着は、
異常であることをすっかり忘れていた。







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