【文スト】転生したら最推しに依存された件［R］【太宰治】

第九話　理不尽 ページ10

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それを考えると私は注意すべきなのかもしれないけど、それは私が口出し出来るような事じゃない。


治くんには治くんなりの遣り方があるだろうし、きっとあれだけ酷い遣り方で指導するのにも治くんなりの考えがあるのだと思う。



治くんなりに芥川くんの力を最大限に生かそうとしているのかもしれない。


それなら私がとやかく云うべきではないだろう。






そんな事を考えていると、ふと昼休憩にあった事を思い出す。




「…そう云えば治くん、今日中原さんが凄く怒った形相で、太宰の野郎は何処だって聞いてきたんだけど…また何かしたの？」


「…ん？…ああ」



私の話題に思い当たる節があったのか、治くんは緩やかな笑みを浮かべると口を開いた。



「中也の執務机に蛞蝓の入った箱を置いといただけだよ」



平然とそう言ってのけた治くんに、私は思わず頬を引き吊らせる。



というかだけって…。


寧ろ厭がらせにしては遣りすぎじゃないかな。さすがに中也さんが気の毒だ。





「…それより、Aの口から私以外の男の名前が出てくるのは矢っ張り気に食わないなあ」



不満げな声色でそう云った治くんは、矢っ張り嫉妬深く独占欲が高い。




私が同僚の男子と話していただけで直ぐ拗ねるし、終いにはその子の目の前で私にキスをしてきたりずっと抱き着いてきたり、妙に子どもっぽい事をする。


そんな所があまりに可愛らしくて普段は何も云わないけど、私も叱るべき所は叱った方が良いんだろう。



でも矢っ張り、治くんを見ているとどうも叱ろうにも叱れない。


治くんが可愛すぎるのだ。



とはいえ、治くんは一々遣る事が過激と云うか派手と云うか。




中原さんに内心同情と謝罪の言葉を送りながら、私は乾いた苦笑いを溢した。




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