【文スト】転生したら最推しに依存された件［R］【太宰治】

第二十六話　複雑な心配 ページ27

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「……さあ？」



わざとらしく首を傾げた治くんに、私は何とも言えない複雑な気持ちになる。



私に心配して欲しかったから怪我したというのは凄く可愛いとは思う。


けれど、それでも矢っ張り怪我なんてして欲しくないに決まっていた。





治くんの頭にゆっくりと手を伸ばし髪を撫でると、私は静かに口を開く。



「…治くん、心配して欲しかったのは分かったけど、次からはこういう事はやめてね」



私が念押しするように云えば、治くんはゆっくりと頷いた。それに安堵する。




分かってくれたなら良かった。正直、またこんな事があったら私の身がもたない。


まるで小さな子どもが不器用ながらに必死に好意を伝えているようでとても可愛らしいけれど、怪我をするのなら話が別だ。





そんな事を思っていると、治くんが私を呼んだ。




「…A、」


「ん？…っわ…！」



治くんに強く引っ張られた反動で、二人揃ってベッドに倒れ込む。


驚きに目を見開かせる私の目の前には、鼻先と鼻先が触れあいそうな程近くに治くんの顔があった。



一瞬固まった私を治くんに強く抱き寄せられて、そのまま首筋に顔を埋められる。


癖毛な髪が首筋を掠めていて、正直擽ったい。


そう思いながら、私は治くんを包むように抱き締め返した。



いつものように頭を撫でて上げれば、気持ち良さそうに治くんは目を細める。


毎度の事ながらも、正直悶え死にそうな程に可愛い。そう思うと自然と口は開いていた。



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