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第二話 自由奔放 ページ5

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カタカタとキーボードに打つ私の手は、物凄い速さで動いている。



もう慣れてしまった事務仕事だが、今やっているのは治くんの分だ。あまりに治くんが仕事をしないから部下達がすごく困っているのを私は知っている。


当然幼なじみである治くんの姿を放っておくわけにもいかず、私は日々治くんの仕事を手伝っているわけだ。


お蔭で毎日ヘトヘトだが、慣れるとどうって事なく感じてしまうのだから慣れとは恐ろしい。







「ねえA〜、仕事ばかりじゃなくて私にも構っておくれよ〜」



いやいやこれ治くんの仕事だから!?と突っ込みたい気持ちを無理矢理抑える。




後ろから相変わらず抱き着いている治くんに思う。


本当に治くんって、自由奔放だ。何にも囚われないという感じで、寧ろ感心すら抱く。





これもいつもの事だが、治くんも少しくらいは仕事をしてくれないだろうか。第一ずっと私に抱き着いてて飽きないのだろうか。



治くんに対する疑問は底を尽きず、私は速く終わらせる為にもパソコンに集中する。






「…無視かい?」




さすがにずっと相手をしていられる程私は暇ではない。治くんには悪いが少しの間我慢してもらおう。




私がずっと無視をした事に拗ねたのか、治くんは私の首筋に頭を押し付けてグリグリしてくる。


地味に痛いと思いながら子どもっぽい治くんに苦笑いを溢し、私は一度手を止めて治くんを抱き締めた。



「後でいくらでも構ってあげるから、今は我慢して?」



これじゃ幼なじみじゃなくてお母さんだ。そんな事を思いながら宥めるように優しく頭を撫でると、治くんは私をきつく抱き締める。




「…じゃあ、キスしてくれたら良いよ」



そんな事を言い始めた治くんに、私は思わず驚く。


確かに今まで抱き着いたりなどのスキンシップは多かったけれど、キスをねだられた事はなかったからだ。



とはいっても治くんからのキスなら数え切れないくらいある。


因みに言えばこの世界での私のファーストキスは6歳の時である。相手は勿論治くんだ。



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第三話 珍しい照れ顔→←第一話 幼なじみの特権



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黒猫もふお - 神作品を発見してしまった……これが現実だったらいいのに……… (8月3日 11時) (レス) @page45 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
梅林 - 物語も面白いし、何より、え、もう太宰さんが可愛すぎてこっちが可笑しくなりそうでした。本当にもう泣きそうなくらい可愛かったです!!これが現実では無いと思うとめっちゃ悔しくなります(;o;) (2020年2月27日 2時) (レス) id: 837f5e2707 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 真菜さん» コメントありがとうございます!そんな風に思って下さってるなんて…!もう嬉し過ぎて涙が出ます!!(泣)本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きます!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
真菜(プロフ) - とても面白くて、大袈裟に感じるかもしれませんが、これを楽しみに毎日過ごしてます!リメイク版も楽しみにしているので、自分のペースで頑張ってください!!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: ef2b815640 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 東雲 祀さん» コメントありがとうございます!太宰さん可愛いですよね(笑)。楽しみにして下さって本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年6月29日 18時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年5月21日 14時

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