【文スト】転生したら最推しに依存された件【太宰治】

第十一話　心配 ページ14

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とはいえ怪我をした理由は分かったけど、何故そんなに嬉しそうなのだろうか。



少し額を切ったようで赤く滲むそこを消毒液に当てる。僅かに顔を歪めるも矢張り笑顔な治くん。


絆創膏を張ったりガーゼを張ったりと一段落した頃、私はずっと思っていた疑問を尋ねた。






「…どうしてそんなに機嫌良いの？」



怪我をしたにも関わらずずっと笑ってるって、結構怖いぞ。まあ治くんだから私にしてみればそんな所も可愛く見えてしまうんだけど。



私ももう末期かな。いやそんな事は最初から分かってたけど、可愛すぎる治くんが悪い。最早その可愛さは罪だ。








「ふふっ、…だってA、凄く心配してくれるじゃないか」


「……………ん？」




今聞き捨てならない言葉を聞いた気がする。てかそれって私が心配してくれるから嬉しいって事だよね。



え、だからそんな怪我しても上機嫌なの？何それ可愛すぎる。いや元々可愛いからそれを倍増してめちゃくちゃ可愛い。





あれ？でも待って。この様子を見ると何か違う。てか今の治くんの言い分をよく考えてみると、まさかだけどそのまさかかもしれない。







「…ま、まさか、私に心配して欲しくてわざと怪我したとかじゃ…ないよね？」



自意識過剰かもしれないけど、治くんなら凄く有り得そうなのだ。大体あの治くんが犬に吠えられたからと言って丘から落ちるとは考えにくい。



いやさすがにそれは無いだろうと思いながら見つめる私に、治くんは意味深な笑みを浮かべた。





「……さあ？」




いやもうそれ確定じゃん。



私に心配して欲しくて怪我とかメーター振り切ってめちゃくちゃ可愛いけど、でも怪我はして欲しくない。



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