第八話 好きの気持ち ページ11
.
「…ん〜…」
私を強く抱き締めながら頬擦りをしてくる治くんは、まるで動物のようだ。そんな所も大変可愛らしい。
「……A」
耳許で囁かれて思わず体が反応してしまう。
けど仕方がないだろう。何か色気が凄いのだ。本当16歳とは思えないくらいに。
しかもそれで寝起きの掠れた声を耳許でされた挙げ句に愛しそうに名前を呼ばれたら、誰だって冷静ではいられないと言うものだ。
ああ、て言うか本当に可愛いすぎる。
「どうしたの?治くん」
本心は出さずに必死に冷静を装いながら、笑顔は満面の笑みを浮かべ終始ニコニコだ。
いや、正確にはにやけているのだが、治くんと接している私はいつもにやけているので今に始まった事ではない。
「…A、好きだよ。大好きだ」
突然の告白は不意討ちすぎる。って言っても治くんからの好きは定期的なのだが。とはいえ矢張りいつになっても治くんからの好きは堪らなく嬉しい。
今まで画面越しに見ていた大好きな人物が目の前に居て、それも幼なじみ。其れだけじゃなくて、私の事を好いてくれている。
これ程嬉しい事があるだろうか。いや、無い。正直今なら全世界に私は世界で一番の幸せ者だと言える自信がある。
「…Aは?」
「ん?」
「…Aは、私の事が好きかい?」
それは反則過ぎるだろう。
そんな不安そうな顔をして言われたら、ただでさえ大きな胸の叫びが膨れ上がってしまう。私一人だったら発狂しているかもしれない。いや、してるだろう、確実に。
「私も治くんが好きだよ、大好き」
「…………でも、それは…」
治くんはどこか歯切れの悪い感じで視線を俯かせる。
治くんが言いたい事は大体分かる。私の好きは恋愛感情では無いと言いたいのだろう。正直それは私にも分からない。
だっていくら転生したとはいえ、私にとってみれば此処は本の世界で治くんは架空の人物だったのだから。
でも、好きという気持ちは本物だ。この気持ちに嘘偽りはない。正直言って、治くんへの愛は世界で一番大きいと胸を張って言えるくらいなのだ。
.
2125人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫もふお - 神作品を発見してしまった……これが現実だったらいいのに……… (8月3日 11時) (レス) @page45 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
梅林 - 物語も面白いし、何より、え、もう太宰さんが可愛すぎてこっちが可笑しくなりそうでした。本当にもう泣きそうなくらい可愛かったです!!これが現実では無いと思うとめっちゃ悔しくなります(;o;) (2020年2月27日 2時) (レス) id: 837f5e2707 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 真菜さん» コメントありがとうございます!そんな風に思って下さってるなんて…!もう嬉し過ぎて涙が出ます!!(泣)本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きます!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
真菜(プロフ) - とても面白くて、大袈裟に感じるかもしれませんが、これを楽しみに毎日過ごしてます!リメイク版も楽しみにしているので、自分のペースで頑張ってください!!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: ef2b815640 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 東雲 祀さん» コメントありがとうございます!太宰さん可愛いですよね(笑)。楽しみにして下さって本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年6月29日 18時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年5月21日 14時