第三十二話 ずっと一緒 ページ35
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色とりどりの花が咲く場所で二人で寝転がりながら私は治くんに満面の笑みを向けた。
「治くん、ずーっと一緒に居ようね!」
「ふふっ、言われなくてもそのつもりだよ。私がAから離れるなんて事、天地がひっくり返っても有り得ないさ」
そう言って私を引き寄せる治くんに、私はぎゅっと強く抱き着いた。
治くんへの愛はいくら言葉に出しても足りなくて、もう言葉でなんて表せないくらい私は治くんが大好きだ。
治くんが心から幸せそうに笑ってくれる姿を私は傍でずっと見ていたい。
「…A、可愛い。好き、大好きだよ」
そう言って小さな子どもみたいに抱き着いてくるから、本当に可愛くて仕方ない。
治くんは私に依存しきっている。けどそれは、私が彼を繋ぎ止める柱の役割をしているという事だ。
もし私が彼の前から居なくなってしまったら、治くんはどうなってしまうんだろう。
まあ、離れるつもりなんて1ミクロンもないけどね。
私は治くんとずっと一緒に居る。治くんが一人にならないようにずっと傍に居て、辛い時寄り添って上げる。そんな存在で有りたい。
「もうこれ以上は無理なくらい好きなのに、一日一日が過ぎるごとに、君と一緒に居るごとに、どんどん溺れていくんだ」
そう言ってとても愛しそうに私を見つめる治くんは私の唇にキスを落とした。
後頭部を引き寄せられて、いつもとは全然違う貪るようなキスをされる。その長いキスが終わると治くんは私の首筋に顔を埋めた。
そんな彼の頭を撫でて上げる。ふわふわな癖毛な髪は幾分か触り心地が良くて、癖になりそうだ。
「治くん、私から誕生日プレゼントがあるの」
「!…プレゼント?」
分かりやすい程に反応して瞳を輝かせる治くんの首に、私はシルバーのネックレスを掛けてあげる。
このネックレスには私の思いを沢山込めている。
中でも一番は、治くんが早く信頼できる仲間を見つけいつの日か沢山の人に囲まれながら光の世界で生きられますように、だ。
本当の事を言うなら、治くんにマフィアなんてなってほしくなかった。
けれどそれが後に治くんが幸せになれる道なら、光の世界へ行ける道なら、私は笑顔でその背中を押す。
だって私は、最推しどうこう以前に彼の幼なじみであり、彼は私の誰よりも大切な人だから。
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黒猫もふお - 神作品を発見してしまった……これが現実だったらいいのに……… (8月3日 11時) (レス) @page45 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
梅林 - 物語も面白いし、何より、え、もう太宰さんが可愛すぎてこっちが可笑しくなりそうでした。本当にもう泣きそうなくらい可愛かったです!!これが現実では無いと思うとめっちゃ悔しくなります(;o;) (2020年2月27日 2時) (レス) id: 837f5e2707 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 真菜さん» コメントありがとうございます!そんな風に思って下さってるなんて…!もう嬉し過ぎて涙が出ます!!(泣)本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きます!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
真菜(プロフ) - とても面白くて、大袈裟に感じるかもしれませんが、これを楽しみに毎日過ごしてます!リメイク版も楽しみにしているので、自分のペースで頑張ってください!!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: ef2b815640 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 東雲 祀さん» コメントありがとうございます!太宰さん可愛いですよね(笑)。楽しみにして下さって本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年6月29日 18時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年5月21日 14時