No.347 ページ41
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「里奈…そんな顔しないで」と苦笑する恵林。先程置いていってしまったことを気にしているのかと謝ってみるが、里奈の顔は浮かないままだ。
「恵林、私…上手く言葉にできないけれど、もっと役に立てるように頑張るね…」
「え、ええ！？」と驚く恵林。「なんてこと言わせてんのよ」と美江が白い目で恵林を見つめた。
「役に立つとかそんなこと友達に必要なことじゃないよ！里奈がいないと私なんてひとりぼっちだし、そばにいてくれるだけで何倍も安心出来る…これからも仲良くして欲しいよ。」
「私も…！」と里奈は胸いっぱいに力を込めて何かを一生懸命伝えようとしてくれている。恵林はこくこくと頷きながら「いつもありがとう」と、改めてぺこりとお辞儀した。
……その裏で、中村と桐ヶ谷がアイコンタクトを取っていた。二人の少女の関係を、"な？変だろ？"とでも言いたげな中村のしたり顔に桐ヶ谷は視線を逸らす。
「それに気づいたよ。思い出して寂しくなる過去より、進んでいく今の方が楽しくて大好き！私たちの居場所はここ、晩餐会！」
そう言って再びアスファルトに寝転んで茜の空を見上げる恵林。すっかり元気になった彼女の様子にホッと一安心して、「制服汚れちゃうよ」と里奈が苦笑した。
そこに「なにしてんだよ！！！」と、こだまする程の大きな声がした。丁度部活の片付けを終えて、アインが校舎から出てきたのだ。「アイン！お疲れ様ー！」と温かいアスファルトからひらひら手を振る恵林。「一人で面白いことすんな！俺も混ぜろ！」とはしゃいで駆けつけた彼は、リュックサックをその辺に放り投げて恵林の横へ滑り込んだ。
「あ！もう月が見えるぞ！」
「え？どこどこ？」
仲の良い二人を呆れ気味で見下ろす友人たちは、顔を見合わせて笑う。彼らはしばらくしてやってきた伊藤先生を困らせて、下校の鐘の合図と共に校門を抜けた。
そうして、目まぐるしい一日は静かに終わりへ近づいていくのだった。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
