No.30 ページ37
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「ありゃりゃりゃ、これはまた紫苑にお友達がたくさん増えてお兄ちゃん嬉しいよ」
しばらくして前回同様お兄さんは2階からとことこ現れた。
同時に「似てるー!」とアインと和葉が声を上げ、それに対してしーくんが「似てません」と不貞腐れる。
「桐ヶ谷くんだ!懐かしいね!元気?」なんて葵の頭を撫でたりほっぺをつまんだりして絡んでくるお兄さんを、葵は「やめてください」と振り払った。
「しずくはどこだ」
騒がしかった玄関が一瞬にして凍る。
私を突き飛ばして絢瀬くんはしーくんのお兄さんの前まで迫ってくると、もう一度同じことを聞いて怖い顔をした。
「___ん?君はしずくちゃんの……」
お兄さんは葵から手を離してにゅーっと絢瀬くんに顔を近づける。
絢瀬くんはちょっとびっくりした様子で1歩後ずさったが、負けずにギロッとお兄さんを睨むと静かに答えた。
「兄です」
「あ〜!ちっちゃくて、随分可愛いね!」
私はもう血の気が引いた。
こんなに怒ってる絢瀬くんに、そんなデリカシーの無いこと言う!?
絶対に言うタイミング違う!
ぷるぷると震えて俯いた絢瀬くんにもお構い無しに「ええ、髪サラサラじゃん!」とベタベタお触りするお兄さん。
ま、まずい!絢瀬くんの怒りメーターが爆発しちゃう……!
「ぅ……うっ……!」
「あれ?何、どうしたの?」
「うわ〜〜〜ん!」
え、えええ!?
絢瀬くん、当然泣き出しちゃった!
「泣かせた!」と和葉はお兄さんを指さした。
アインも「お、おい!泣くなよ!」と困った様子で絢瀬くんの背中をさする。
「僕のせい?」
「当たり前だろ、どうするんだよ!」としーくんがお兄さんにブチ切れ、私もあたふたしてしまった。
「葵、どうしよう!」
「子供は苦手なんだよ、わからない」と、葵は耳を塞ぎながら答える。
子供って、あんたも子供だろうが!
「しずく、しずく!怖いよ!ひとりにしないで!」
絢瀬くんは叫んだ。
何度も何度もしずくちゃんの名前をひたすら玄関で叫び続け、とうとうお兄さんも「あちゃ〜、ごめんね」としょぼくれながら絢瀬くんの頭を撫で始めたが、イヤイヤ!と絢瀬くんは赤ちゃんみたいにその手を振り払って更に大泣きしてしまった。
「小さい頃の紫苑みたいだな…」
『言ってる場合か!』
珍しくしーくんと私のセリフが被った。
べろべろばあを繰り返す和葉とアインを見てなんだか情けなくなる。
小さい子のお守りなんてしたことないからどうしたらいいのかわかんないよ!
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - ぬーん@低浮上さん» ええありがとうございます...!!絢瀬ツインズまじで尊いんですよ...ぜひ追っかけていただいて...()ふふふふふふ......() (2021年5月13日 21時) (レス) id: d9493e2ae9 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん@低浮上(プロフ) - 2期…っ、2期が……!!(言葉を詰まらせる)(毎度コメントすみません)ハマった沼が深すぎて抜けられないです…!!絢瀬ツインズ尊い……好きがたくさん…。不穏な感じで終わったのでちょっと心配ですが、大丈夫だと信じて次巻もゆったり待ってます! (2021年5月1日 15時) (レス) id: fa75c01212 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» きゃっ!!ありがとうございます!ぜひぜひみんなの成長を見守っててくださいね!! (2021年4月19日 2時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 待望の2期ありがとうございます!!!1期読み終わったのが3月で...ずっと待ってました。 絢瀬兄弟最高です....。けいとくんの気持ちめちゃくちゃわかりすぎます。部活になった晩餐会の展開とても楽しみです。2巻待ってます!!!ありがとうございました。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2021年4月19日 0時