るる ページ2
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僕らがやり直すに当たって
カフカは僕に約束を取り付けた。
そもそも僕らはずっと一緒にいる契約だってしているのに
それはもう忘れてしまったようだ。
僕はもうカフカの特別ではなくなってしまった。
カフカはそんな僕に言った。
「僕以外の大事な人を僕より大事にすること。」
「二度と一人だなんて言わないこと。」
そして、それを守ればまた僕の気持ちが戻るかもしれないとも言った。
でも、戻らないかもしれない、とも言われた。
とにかく、別れ話を切り出されないように頑張ってねってことだった。
カフカは、今の僕では好きになってくれない。
カフカは僕に、「変わること」を要求した。
僕は不安だった。
本当に上手くいくのかなって。
今こうして一命を取り留めたわけだけど
いつまで続くかわからないし、次は本当のお別れだ。
僕にできるのかな。
母親を大切にし、父親を慕い、カフカ以外に大切な人間を作るなんて。
だけどきっとカフカは、僕がカフカがいないと何もできない依存人間だって知っているんだ。
だから「一応」まだ付き合っておいたんだ。
そこに愛はない、期待もないかもしれない、さらには恋人は別の誰かを見ている。
最悪な展開だ。いつそいつと付き合うなんて言い出すかわかったものじゃない。
以前は僕の呼吸から排泄まで愛してくれたカフカだけど、
もう僕のことは眼中にない。
それに僕らはネット恋愛で顔を合わせたこともない。
今にも本当に切れてしまいそうな錆色の糸が、僕らをそっとつなぎとめていた。
それは僕に取って臍の緒のような役割をする。
形はスマホだけど、僕には大事な命のつなぎ目。
でも不安は消えない。憎悪とまではいかないが
なんだか息苦しく、そして気持ち悪い。
本当にこれで良かったのかな。
さっぱり終わらせた方が良かったんじゃないかな。
カフカはこんなことも言っていた。
「曖昧な関係は好きじゃない。だから別れたい」って。
じゃあなんでよりを戻してくれたのかな。
僕のことをまだほんのちょこっとでも好きだと思ってくれていたのかも。
やはりそれはないだろう。
そして、それはないと言うことは、すぐに終わってしまいそうだと言うことだ。
奇跡でもない限り僕らは終わる。
僕がカフカに認めてもらえるような男にならない限り、終わるのだ。
皮肉だが、カフカをそそのかした嫌いなあいつのような人間にならなければいけないのだ。
そうしないとカフカは僕を見ない。
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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2020年5月30日 2時