15話：監督ビューティフル！ ページ17
貴志部「監督。少しよろしいですか。」
部室に入るなり、足を組んで
手に持った資料を見つめる人物に、
貴志部くんが迷わず声をかける。
その人は「おや、貴志部。どうしたんだい？」と言いながら微笑む。とても綺麗な人だ。髪も表情も、きっとこれが“美しい”というものなんだろう。
貴志部「雷門中の、藤咲Aさん。監督の忘れ物を届けに来てくれたそうです。」
貴方「は、初めまして。藤咲と申します。円堂監督から預かってきました。こちらです。」
？「わざわざありがとう。合宿の時でも良かったのに。ああ、挨拶が遅れてすまないね。僕は亜風炉照美。木戸川清修サッカー部の監督さ。」
貴方「よろしくお願いします。それと、こちらも。」
亜風炉「ああ、招待状だね。勿論、木戸川清修は参加させてもらうよ。その時はよろしくね。」
貴方「はい！」
貴志部「あの…監督。合宿なんて聞いてませんが。」
亜風炉「勿論、期末試験が終わってから話そうとは思っていたんだよ？」
貴志部「でも、それでは補習者は参加できないんじゃ……。」
亜風炉「木戸川清修サッカー部から、期末試験の補習者を出すと思っているのかい？」
貴志部「はぁ……。」
貴方「あ……もうこんな時間。それでは、私はこれで失礼します。」
亜風炉「ああ、ありがとう。円堂くんにもよろしく伝えておいて。貴志部、彼女を送って行くんだよ。」
貴志部「はい。」
貴方「え！そんな、大丈夫ですよ！」
亜風炉「ふふ。女の子がこんな時間に1人で出歩くのは感心しない。それに、円堂くんから少し話は聞いているんだ。この辺りのこと、まだよく知らないだろう？貴志部が責任をもって送り届けるから、安心してね。」
貴方「でも……。」
貴志部「大丈夫、任せて。」
貴方「じゃあ、よろしくね…貴志部くん。」
貴志部くんと亜風炉監督は、優しく微笑んでくれた。
空が暗くなり始めた6時頃、漸く
貴志部くんと共に帰路に着いた。
木戸川清修と雷門の準決勝のことや、
普段の学校のことなど、彼は沢山話してくれた。
サッカーを通して、知り合った
初めての雷門以外の友達。純粋に嬉しかった。
16話：心配ファミリー！→←14話：緊張イントロダクション！
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月18日 23時
