753話:1人きり ページ34
カルラ「あ、A。体調はもう良いの?」
お祭り会場の、屋台修繕をしていたカルラが
私の姿を見て駆け寄ってきた。
貴方「うん、大丈夫。何か手伝える事はある?」
カルラ「無理しなくていいのに……。んー……ここは大丈夫かな。オロチやかまいたちの方に行ってやってよ。神楽舞の舞台修繕してるからさ。人で足りないんだって。」
貴方「分かった。」
カルラ「あっ……A。」
歩き出そうとしてすぐ、
カルラに腕を捕まれ阻止される。
貴方「どうしたの?」
カルラ「……その…、いや。ごめん……何でもない。」
貴方「……ちょっとごめんね。」
カルラ「え……。」
カルラの額に手を当てる。
カルラは一瞬肩を震わせたけれど
じっとしてくれていた。
貴方「カルラ…、やっぱり熱がある。」
カルラ「え……?そう、かな。気が付かなかったけど……。」
貴方「うん……高いってほどでもないの。でも、ここ数日土蜘蛛の神楽の練習に付きっきりだったし、こんな状況で休めてないんじゃ……。」
カルラ「……Aには何でもお見通しなんだね。」
貴方「そんなこと……。でも、早く休んでね。あ…、部屋まで送ろうか?私大ガマに言って……。」
カルラ「大丈夫、気付かなかったくらいだから1人でも問題ないよ。……ありがとう、A。」
そう言ってカルラは立ち去ったけれど
後ろ姿はなんだかとても、
辛そうに見えた。
貴方「……カルラ…。やっぱりまだ……。」
フミさんの事を忘れろ、なんて言えるはずもない。かといって、私が代わりになれるはずもない。
額に手を当てる行動で少し動揺していたのは、フミさんに同じ行為をされた過去があるのかもしれない。
カルラは、何でもフミさんのことを
鮮明に覚えているんだな……。
貴方「……心配、させてくれても良いじゃない…。やっぱりまだ、一人で抱え込んでる……。」
カルラ、カルラ……大丈夫だよ。
私達を頼ってよ……。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 23時