941話:気配 ページ27
貴方「……」
土蜘蛛「何か考え事か。」
かまいたち「今日は冷える。窓際より、こちらで暖をとれ。」
貴方「うん…。2人が一緒だなんて、珍しい組み合わせだね。」
土蜘蛛「……カルマに、鬼になりたいと言われていてな。かまいたちと説得していたところだ。」
かまいたち「ああ。鬼になっても良いことなんてないからな。」
貴方「カルマ……まだそんなことを…。」
土蜘蛛「お主も聞いておったのか。」
貴方「うん……。鬼になって欲しくないのはみんな同じ。特に、カルマは生きる世界が違うのに巻き込んでしまった。……できることなら、彼だけでも離脱させてあげたいけど…。」
かまいたち「戦力が足りない今、カルラと同等の力を持つカルマの存在は手放すには惜しい。」
土蜘蛛「お主が酒呑童子の血を飲んだとなれば、これ以上血での強化は難しい。他のものにも酒呑童子からの危害が及ぶかもしれんからな。」
天気は生憎の雨が続く。この天気の中で、鬼の殲滅と、地下牢の監視を中心に、できるだけ鬼の研究を進めている。
過去に戻って、酒呑童子に鬼について聞くことも、もう厳しいだろう。手詰まりで、何をすればいいのか分からない。
土蜘蛛「A、お主……。酒呑童子の血を飲んだその後はどうだ。」
貴方「前から吸血衝動のあと気絶して眠っていたけど…。それが長引いている感じ。眠気が凄くて…。特に力に変化は無いんだけど…。」
かまいたち「鬼についてわからないことの方が多い。まだ変化が乏しいだけで、突然何かが起こる可能性も否定できない。」
土蜘蛛「眠気に関しても…。………吾輩より、大ガマの方が何か知っているかもしれんな。」
貴方「……」
初めて鬼ガマと鬼蜘蛛に会った時も、鬼蜘蛛は眠りに入っていた。それはきっと、酒呑童子の血が濃かったからだろう。今の私も、あの時と同じ状況なのかもしれない。
貴方「!…女郎蜘蛛…?」
土蜘蛛「どうした。」
貴方「今、女郎蜘蛛の気配が……。」
ほんの一瞬。考え事をしていたから、気のせいかとも思ったけれど、女郎蜘蛛の気配がした気がする。
かまいたち「……気配が遠いと言うよりは、弱い…な。」
貴方「近くにいるかも…。私、捜しに行ってくる!」
土蜘蛛「待て!罠かもしれんのだぞ。性急なのは感心せぬ。」
貴方「でも、これを逃したら…女郎蜘蛛と会えなくなるかもしれない。……行かせて。」
私の腕を掴んでいた土蜘蛛の手がそっと放された。
土蜘蛛「吾輩達も行こう。」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時