60話：敵陣レコナザンス！ ページ16
喜多「その足で動くのは、あまりオススメしないな。」
貴方「これは私の不注意なので…。これを理由に、チームに迷惑かけたくないんです。」
喜多「顔色も悪くて、汗もかいているのにかい？」
貴方「こ、これは暑さのせいです！」
そう言うと、喜多さんは一瞬唖然としたが、
すぐにクスクスと笑い始めた。
喜多「強情なんだね。なら、俺も手伝うよ。」
貴方「え？」
喜多「ちょうどウチのチームは1時間休憩だし。気付いたのに放ってはおけないからね。」
貴方「でも…。」
喜多「少し、周りに頼っても良いんじゃないかい？って言っても、見た事ないマネージャーだったから気になっただけなんだけど。もしかしてチームの人と上手く馴染めてないとか？」
貴方「……そう、ですね。みんな良くしてくれるけど、まだ2日目だし。私はサッカーのことをあまり知らないので。でも、知らないを理由に仕事ができないとか、チームに貢献できないなんて、無責任だと思うから……。」
喜多「努力家なんだね。チームのみんなも、キミのそういう姿を沢山見てくれているはずだよ。さ、早くドリンクを運んでしまおうか。」
貴方「は、はい！」
喜多さんはその後、重いドリンクを一緒に運んでくれた。貴志部くんとは知り合いらしく、少し話していた。落ち着いた印象だ。
ドリンクとタオルを並べ終え、選手の体調をチェックしていると、亜風炉監督から声をかけられた。
貴方「亜風炉監督…？」
亜風炉「んー。その呼び方は少しナンセンスかな。アフロディと呼んでくれ。」
貴方「あ、アフロディさん…。」
亜風炉「うん、良いね。ところで、彼は天河原中の喜多くんだね。どうしてここへ？」
貴方「たまたま会って、足の傷がバレたので、ドリンクを運ぶお手伝いを志願して下さったんです。」
亜風炉「そうかい。偵察かと思ったよ。」
貴方「あ…。」
そうか。最終的には、他のチームと試合するだから、チームの情報を取るために来たのかも。だったら、敵に塩を送る真似をしてしまったのかな…。
亜風炉「でも、彼は天河原の中でも真面目な方だし、大丈夫かな。」
貴方「どういうことですか？」
亜風炉「天河原中は、ラフプレーで有名なんだよ。」
貴方「ラフプレー……。」
それって反則行為だし、とても危険なんじゃ……。
彼がそんな事をするようには見えないけれど…。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月25日 13時
